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【速報】ダイモン、小型月面探査車「YAOKI」の初打ち上げに成功–1週間後に月面着陸へ
2025.02.27 10:06
手のひらサイズの小型の月面探査車「YAOKI」を開発するダイモン(東京都中央区)は2月27日、米Intuitive Machines(以下「IM」)の月着陸船「Nova-C」(通称「アテナ」)に搭載されたYAOKIの打ち上げイベントを開催した。
一般参加者やメディア関係者など50名以上が見守る中、SpaceXの「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットによって、日本時間9時16分に無事に打ち上げられ、その後の月着陸船の分離にも成功した。約1週間後の3月6日ごろに、月の南極点「シャクルトン・クレーター」付近に着陸する予定。
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YAOKIのサイズは15cm×15cm×10cmで、重量は498g。地球の6分の1の月面重力を再現した実験装置を開発して、10種類近いタイヤを試作するなどして月面走行の準備を進めてきた。今回の「Project YAOKI 1(PY-1)」ミッションでは、月面着陸から5日後にアテナ月着陸船から分離。YAOKI単体で月面走行しながら詳細な接写画像を撮影し、それらを地球に送信する予定。
充電ができない一次バッテリーのため、月面での想定駆動時間は6〜8時間となる。次号機以降は太陽電池パネルの搭載を検討している。月面では半径300m程度の走行が可能としているが、実際にはアテナ月着陸船の周辺50m以内の走行を想定しているという。
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IMにとって2回目の月面着陸を目指すIM-2のミッションでは、将来の月探査を可能にするために、水資源探索のインフラを検証し、利用可能な資源の組成や濃度を特定。月面通信技術を実証することを目的としている。その中でYAOKIは、NASAの「商業月貨物輸送サービス(CLPS)」プログラムのもと、月の南極地域に重要な商業・民間インフラサービスを提供するペイロードのうちの1つとなる。
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同社では、今後も毎年YAOKIを打ち上げ、数年以内に100機を月面へ送り込む計画だ。ダイモン代表取締役社長の中島紳一郎氏は、2年目(2026年)には2機を打ち上げ、バッテリー駆動時間も2週間程度まで伸ばしたいと目標を語る。
そして、3年目(2027年)には10機まで増やし、YAOKIを保護するシェルターも打ち上げることで、日中と夜間で270度以上の寒暖差がある月面でも持ち堪えられる状態を作りたいと展望を語った。また、100機体制になった際には、地球からの遠隔操作で多くの人々がYAOKIを“アバターロボット”化して操縦できる、月面旅行なども実現したいと夢を語った。
マネタイズについては、YAOKIを1台1億円ほどでOEM販売したり、月面での実証実験などに使える専用ケースを販売したりすることを検討しているという。