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世界初–月を目指す着陸船「ブルーゴースト」で地球のGPS信号の取得に成功

2025.02.25 17:00

UchuBizスタッフ

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 月を目指している着陸船(ランダー)「Blue Ghost」に搭載されている受信機「LuGRE」が地球で活用されている全地球的測位システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)の信号を取得して追跡していることに成功した。世界で初めての試みに成功したことになる。米航空宇宙局(NASA)とBlue Ghostを開発、運用している米Firefly Aerospaceが米国時間2月21日に発表した。

 LuGRE(Lunar GNSS Receiver Experiment)はNASAのゴダード宇宙飛行センターとイタリア宇宙機関(Agenzia Spaziale Italiana:ASI、Italian Space Agency:ISA)が共同で開発。米「Global Positioning System(GPS)」と欧州「Galileo」の信号を月での「測位や航法、タイミング(Positioning,Navigation and Timing:PNT)」に活用できるかを実証することが目的。月への飛行中や月面で地球を周回するGNSS衛星の信号を取得、追跡できれば、地球の地上局とのやり取りに依存することを減らせると期待されている。

 Blue Ghostは、観測機器などの貨物(ペイロード)の月への輸送をNASAが企業に有償で委託する「商業月面輸送サービス(CLPS)」の一環。同ランダーは、月着陸ミッション「Ghost Riders in the Sky」としてLuGREを含む10のペイロードを月に輸送している。Blue Ghostは2月24日に月を円状に周回する軌道への移動に成功。月への着陸は3月2日に予定されている。

 LuGREは、Blue Ghostの月着陸後14日間、月面で地球のGNSS信号を取得、追跡する。LuGREはISAとイタリア企業Qascomが開発したソフトウェアとハードウェアを統合したものであり、月面で動作する初のイタリア製ハードウェアになるという。

 LuGREで収集されたデータは、NASAやISAだけでなく、すべての月探査ミッションにGNSSを利用する扉を開くことが目的と説明。運用完了後6カ月でミッションで収集されたデータは公開される予定となっている。NASAが主導する月探査計画「Artemis」にもLuGREの成果は生かされる。

 Blue Ghostは、同じく月を目指す日本のispaceのランダー「RESILIENCE」と相乗りして米フロリダ州のケネディ宇宙センターでSpace Exploration Technologies(SpaceX)のロケット「Falcon 9」で日本時間1月15日に打ち上げられた

10のペイロードを搭載して月に向かっているBlue Ghost(出典:Firefly)
10のペイロードを搭載して月に向かっているBlue Ghost(出典:Firefly)

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Ghost Riders in the Skyミッション最新情報
NASA発表
LuGRE概要

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