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ispace月着陸船「レジリエンス」、月のフライバイに成功–民間企業で世界初
2025.02.17 12:45
ispace(東京都中央区)は2月15日、月を目指している着陸船(ランダー)「RESILIENCE」が「月フライバイ」に成功したことを発表した。民間企業による商業用ランダーとしては初めてになる。
日本時間2月15日午前7時43分にRESILIENCEは月表面から高度8400kmを通過。民間月探査計画「HAKUTO-R」のミッション2「SMBC×HAKUTO-R VENTURE MOON」はマイルストーンのサクセス5を完了したことになる。
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月フライバイ(「スイングバイ」とも言われる)は、低エネルギー遷移軌道での新宇宙航行に移行するために重要なマイルストーンと説明。目標通過点に対して数十キロの範囲にランダーを通過させるため、精密や軌道計画と運用が求められるという。ミッション1で得た軌道制御の経験と実績から初挑戦となった月フライバイは成功したと同社は解説している。
RESILIENCEは予定通り低エネルギー遷移軌道を使って深宇宙を航行する。その後、太陽の重力を使って5月初旬に月の重力圏に到達して軌道投入する予定。
ミッション2のランダー、RESILIENCEは日本時間1月15日午後3時11分にSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)のロケット「Falcon 9」で所定の軌道に投入され、同日午後4時44分にロケットから分離された。
1月17日午前4時40分に地球から2万5000kmの地点でRESILIENCEは約16秒間メインエンジンを噴射して初回の軌道制御マヌーバを実施、予定軌道に投入し、主推進系と誘導制御系の動作を確認した。
ミッション2のVENTURE MOONでは、ミッション1と同様に月面に着陸するまでの10段階のマイルストーンが設定されており、マイルストーンごとの成功基準(サクセスクライテリア)を決めている。ミッション1と同様にミッションに途中で課題が発生しても、その事象だけを捉えて、単なる失敗と評価しないという考えがあるからだ。
- サクセス 1=打ち上げ準備の完了(-2~3日前)=成功
- ランダーすべての開発工程の完了
- 打ち上げロケットへの搭載完了
- 世界のさまざまな地域で柔軟にランダーを組み立てられる能力を実証
- サクセス 2=打ち上げと分離の完了(+1時間後)=成功
- ロケットからランダーの分離完了
- ランダーの構造が打ち上げ時の過酷な条件に耐えられること、設計の妥当性を再確認するとともに将来の開発やミッションに向けたデータを収集
- サクセス 3=安定した航行状態の確立(+数時間後)=成功
- ランダーと管制室の通信を確立し、姿勢の安定を確認するとともに軌道上での安定した電源供給を確立
- サクセス 4=初回軌道制御マヌーバの完了(+1~2日後)=成功
- 初回の軌道制御マヌーバを実施、ランダーを予定軌道に投入
- サクセス 5=月スイングバイの完了(+1カ月後)=成功
- 打ち上げ後1カ月で月スイングバイを完了
- 深宇宙航行を開始
- サクセス 6=月周回軌道投入(Lunar Orbit Insertion:LOI)前にすべての深宇宙軌道制御マヌーバの完了(+3~3.5カ月後)
- 太陽の重力を利用したすべての深宇宙軌道制御マヌーバを完了し、月周回軌道投入マヌーバの準備を完了
- 深宇宙でのランダー運用能力と航行軌道計画を再実証
- サクセス 7=月周回軌道への到達(+4カ月後)
- 最初の月周回軌道投入マヌーバによるランダーのLOI完了
- ランダーとペイロードを月周回軌道に投入する能力を再実証
- サクセス 8=月周回軌道上でのすべての軌道制御マヌーバの完了(+4.5カ月後)
- 着陸シーケンスの前に計画されているすべての月軌道制御マヌーバを完了
- ランダーが着陸シーケンスの開始準備ができていることを実証
- サクセス 9=月着陸の完了(+4.5カ月後)
- 月面着陸を完了させ、今後のミッションに向けた着陸能力を実証
- サクセス10=月着陸後の安定状態の確立(+4.5カ月後)
- 着陸後の月面での安定した通信と電力確保を確立

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