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米アストロボティック月着陸船、NASAが中止した探査車とは別の探査車「FLIP」を搭載へ

2025.02.07 15:32

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米Astrobotic Technology(アストロボティック・テクノロジー)は米国時間2月5日、同社の月着陸船(ランダー)「Griffin」(グリフィン)に米Astrolab(アストロラボ)が開発する探査車(ローバー)「FLIP」を搭載すると発表した。

 Griffinはもともと、米航空宇宙局(NASA)が開発する、氷を探すローバー「VIPER」を2025年末に月の南極に届ける予定だった。しかし、2024年夏にNASAがVIPERをキャンセルしたため、その代わりとしてFLIPが搭載されることになった。

 重さが450kgのロボットローバーであるFLIP(FLEX Lunar Innovation Platform)は4輪で移動して、最大30kgの貨物(ペイロード)を搭載できる。

 Astroboticは、観測機器などのペイロードの月輸送をNASAが民間企業に有償で委託する「商業月面輸送サービス(CLPS)」としてGriffinを活用する。Griffinにとって初となる月着陸ミッションが「Griffin Mission One(Griffin-1)」。Griffin-1は、Astroboticにとって2回目の月着陸ミッションとなり、1回目のランダー「Peregrine」(ペレグリン)は2024年1月に打ち上げられたが、月に到達できなかった

 Astrolabは、より大型なローバー「Flexible Logistics and Exploration(FLEX)」も開発している。人と同じサイズのFLEXは2人の宇宙飛行士を搭載できるほか、自律運転も可能で、2026年末にもSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の「Starship」(スターシップ)で打ち上げられる予定

 FLIPはFLEXと同じコアコンポーネントで構成。月面で稼働するFLIPは、FLEXのコアコンポーネントとサブシステムを実証する役割も果たす。

 NASAのVIPERは、Griffinに搭載されなくとも、将来的に月に到達する可能性がある。2月3日に同局は民間企業に対し、VIPERが月の南極付近で科学実験を実施するためのパートナーシップ提案を募集した。

(出典:Astrobotic / Astrolab)
(出典:Astrobotic / Astrolab)

関連情報
Astroboticプレスリリース
NASAプレスリリース
Griffin
Griffin-1(CLPS)
Space.com

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