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ロシア、 366日間の隔離実験が終了–深宇宙飛行や月面活動をシミュレート

2025.02.03 15:52

塚本直樹

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 ロシア科学アカデミーの生物医学問題研究所(IBMP)は、深宇宙飛行や月面活動をシミュレートした366日間の生物医学的隔離実験「SIRIUS-23」を2024年11月に終え、成功を宣言した。Space.comが2025年2月に報じた。

 SIRIUS(Scientific International Research in Unique terrestrial Station)は、もともと米航空宇宙局(NASA)の有人研究プログラム(Human Research Program:HRP)とIBMPの共同研究として2017年に開始され、これまで17日間、120日間、240日間の隔離実験を実施してきた。2022年以降、IBMPはSIRIUSを単独で進めている。

 今回のSIRIUS-23では、地上の閉ざされた空間で、6人の宇宙飛行士が366日間、将来の惑星間ミッションを想定して活動した。ロシアとベラルーシ出身の男性2人、女性4人が参加。独立した生命維持装置と大気管理システムを備えた完全密閉型施設で実施された。

 有人月面ミッションの主要フェーズを想定し、月への移動や軌道上ステーションへのドッキング、月面での活動、地球への帰還を再現。5回の模擬月面着陸や4人1組のチーム交代制での探査任務を実施した。仮想現実(VR)システムを活用し、船外活動(EVA)の訓練や心理的ストレスの軽減にも取り組んだ。

 心理学や生理学、免疫学、代謝学、微生物学など52の実験が実施され、2025年末までに学術論文として発表される予定だ。

(出典:IBMP)
(出典:IBMP)

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IBMPプレスリリース
Space.com

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