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中国、「長征3号B」ロケットのブースターが地上に落下–民家近くで爆発

2025.01.27 15:47

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 中国の「長征3号B」(Chang Zheng 3B:CZ-3B、Long March 3B:LM-3B)ロケットのブースターが地上に落下し、民家の近くで爆発したことが報告されている。海外メディアのSpace.comが報じた

 中国は1月23日、機密衛星「TJS-14」を西昌衛星発射センターから長征3Bで打ち上げた。衛星は静止軌道への投入に成功したが、ロケットの4本のブースターのうち1本が西南地区の貴州省 鎮遠県の人口密集地に落下した。

 中国SNSの微博(Weibo)に投稿された防犯カメラの映像では、夜空を明るく照らす爆発に家族とみられる2人が戸惑う様子が映されている。爆発したブースターは家の上ではなく、近くの丘陵地に落下したようだ。

 長征3号Bは内陸部の西昌衛星発射センターから打ち上げられ、ロケットの一部は地上に落下する。同ロケットはヒドラジンと四酸化二窒素(N2O4)を燃料としているが、この推進剤は有毒で、地面に衝突すると爆発を起こす。

 中国の宇宙当局は、ロケットを打ち上げる度に落下地点を計算し、該当区域を閉鎖して、避難させるなどの安全対策を講じる。影響を受ける地域には通知が出され、残骸に近づかないよう警告も出されるという。しかし、こうした対応にもかかわらず、事故は発生している。

 中国の初期の3つの発射場は内陸部に建設されたが、その後は海南島や山東省の沿岸に、発射場や海上発射施設が設置されている。一方で、内陸部からの打ち上げも継続しており、今後も同様の事例が続く可能性があるとSpace.comは指摘している。

 長征3号Bは2023年12月に西昌衛星発射センターから打ち上げられ、ブースターが民家近くの山に落下している。中国では、内陸部でロケットを打ち上げる際のブースター落下被害を軽減するシステムも開発されている

中国での宇宙開発の状況をSpaceNewsやSpace.comなどで報道しているAndrew Jones氏の公式X(旧Twitter)投稿。微博(Weibo)に投稿された防犯カメラと思われる動画を引用

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Andrew Jones氏公式X(旧Twitter)アカウント投稿
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