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「トヨタ」の知見で民間ロケット量産化を支援–インターステラテクノロジズに70億円出資へ
2025.01.07 10:05
民間ロケットベンチャーであるインターステラテクノロジズ(北海道広尾郡⼤樹町)は1月7日、トヨタグループのウーブン・バイ・トヨタとの資本業務提携を発表。同社をリード投資家として、約70億円の出資を受けることを発表した。あわせて、ウーブン・バイ・トヨタはインターステラテクノロジズに取締役を派遣し、コーポレートガバナンスを強化する。
政府は2030年代前半までに、基幹ロケットと民間ロケットをあわせて年間30件程度(2024年は7回)打ち上げることを目標としているが、そのためには一点モノの生産から量産に耐えうるサプライチェーンへと国内宇宙産業の構造を変革する必要があるとインターステラテクノロジズは指摘。
「トヨタ生産方式」など自動車業界の知見やノウハウを取り入れることで、ロケットを低コストで高品質、かつ量産可能な体制にしていくと説明する。具体的には、ロケットの量産化を視野に入れた原価低減やリードタイム短縮、量産体制の構築やサプライチェーンの強化、コーポレートガバナンスの強化に向けて共同で取り組む。
なお、インターステラテクノロジズは2020年からトヨタ自動車との人材交流を始めており、これまでにトヨタ系から累計11名が出向している。これらの継続的な取り組みを経て、今回の戦略的提携へとつながった。
提携について、インターステラテクノロジズ代表取締役CEOの稲川貴大氏は「インターステラテクノロジズは2013年の事業開始当初から12年間、モノづくりとトライ&エラーの精神を大切にしてきた。トヨタグループでモビリティの変革をリードするウーブン・バイ・トヨタは、当社がロケットを一点モノの生産から量産に耐えうるサプライチェーンへと昇華させ、『誰もが宇宙に手が届く未来』というビジョンを実現するためのベストパートナーであると考えている。2020年から継続している人材交流を経て、戦略的提携という形で今回ご一緒させていただけることを心からうれしく思う」とコメント。
ウーブン・バイ・トヨタ代表取締役CEOの隈部肇氏は「トヨタはモビリティカンパニーへの変革に向けて、陸・海・空のモビリティに挑戦しており、トヨタグループの一員であるウーブン・バイ・トヨタも、モビリティの変革に取り組んでいる。宇宙を通じて持続可能な地球の未来の実現を目指すインターステラテクノロジズとの人材交流を通して、移動の未来への想いを共有し、このたびロケットの量産化に向けて一緒に取り組むことができることをうれしく思う。これまでトヨタグループがモノづくりを通じて培ってきた技術や知見などを活用いただきながら、インターステラテクノロジズとともに、モビリティにより人の可能性を拡げる社会を目指していく」とコメントした。