ニュース

スペースX、「スターシップ」次回試験で第2段を刷新–空中キャッチにも挑戦

2025.01.06 17:30

塚本直樹田中好伸(編集部)

facebook X(旧Twitter) line

 Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)は次期ロケット「Starship」(スターシップ)の次の打ち上げ試験でロケットのアップグレードと貨物(ペイロード)の搭載を予定している。

 Starshipは、宇宙船であり、衛星を打ち上げるロケットでもある第2段(上段)のStarshipと、第1段エンジン(ブースター)である「Super Heavy」で構成される、全長121mになる巨大ロケット。統合飛行試験(Integrated Flight Test:IFT)の7回目(IFT-7)となる「Flight 7」では、上段がアップグレードされる。

 具体的には、加熱を抑制するための前方フラップのデザインが変更され、容量が25%増加した推進剤タンクを採用。宇宙船のアビオニクス(航法機器)の「完全な再設計」も行われ、新しいコンピューターやアンテナ、電力配分システムが搭載される。

 熱保護システムも改善され、最新世代のタイルと、それらのタイルが損傷したり欠損したりした場合に備えて下層のタイルが追加される。次のテストでは、いくつかのタイルが故意に外され、ストレステストも実施される。水冷機能を組み込んだ金属製タイルのオプションも用意されている。このオプションは、上段のStarshipを発射場に着陸させようとする将来に備えたものと考えられている。

 Flight 7では、宇宙空間で「Starlink」衛星の次世代版と質量と大きさがほぼ同じStarlinkシミュレーターが10個搭載される(軌道には乗らずに大気圏に再突入する)。

 海外メディアのSpaceNewsによると、次世代版Starlink衛星「V3 Starlink」は、重さが1機あたり2トン、ダウンリンク容量が1Tbpsであり、重さは現行の「V2 mini」の10倍、アップリンク容量は160GbpsでV2 mini衛星の24倍になるという。V3 Starlinkでは、無線とレーザーの両方を使用して、4Tbpsのバックホール容量があるとしている。Starshipは今後、V3 Starlinkの打ち上げにも使用される予定だ。

 次回のFlight 7では、10月の「Flight 5」で打ち上げられ、発射台のアームで「箸のように」空中でキャッチすることに成功したブースターのSuper HeavyのRaptorエンジンが再利用される。前回の「Flight 6」では失敗したが、次回のFlight 7では再びアームでの空中キャッチにも挑戦する。

 SpaceXはFlight 7の日程を明らかにしていないが、すでに米連邦航空局(FAA)はFlight 7について飛行許可を出している。SpaceNewsによれば、1月10~16日に空域制限が発表されている。1月11日は午前だが、それ以外は午後の遅い時間に打ち上げるものとみられている。

(出典:SpaceX)
(出典:SpaceX)

関連情報
SpaceX発表
Space.com

Related Articles