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NASA、「近宇宙通信網」で4社を選定–200万キロまでの通信で民間企業の活用範囲を拡大
米航空宇宙局(NASA)は米国時間12月20日、地球から200万kmまでのミッションに通信や航法(ナビゲーション)といった機能を提供する“近宇宙通信網”「Near Space Network(NSN)」の委託契約を4社に発注したと発表した。
米航空宇宙局(NASA)は米国時間12月20日、地球から200万kmまでのミッションに通信や航法(ナビゲーション)といった機能を提供する“近宇宙通信網”「Near Space Network(NSN)」の委託契約を4社に発注したと発表した。
この契約は、地球軌道や月周辺での宇宙機との通信能力を拡大し、民間企業が提供するサービスへの依存を強化するものだ。NSNには世界各地の地上局や追跡データ中継衛星(TDRS)システムが含まれ、これらをTDRSの機能などを引き継ぐ「Communication Services Project(CSP)」に移行することを考えている。
今回の契約を結んだのは、Intuitive Machines、Kongsberg Satellite Services(KSAT、ノルウェー)、SSC Space US、Viasatの4社だ。Intuitive MachinesはNASAの「月探査地上セグメント」を強化する、地球間直接通信サービスを提供する。KSATは地球軌道上の宇宙機向けの直接通信サービスを提供する。
スウェーデン国営企業であるSwedish Space Corporation(SSC)の米法人であるSSC Space USは地球低軌道(LEO)「ユニークで高楕円軌道」にある宇宙機との通信を支援する。Viasatは地球軌道上の宇宙機との通信を担当する契約を獲得した。
NASAはNSNの契約額を公開していないが、サービスの提供期間は2025年2月~2029年9月だが、2034年9月まで延長可能なオプションが含まれている。NSNに関するすべての契約の最大総額は48億2000万ドル(約7600億円)とされている。
海外メディアのSpaceNewsによると、TDRSは新規ミッションを受け入れを停止し、国際宇宙ステーション(ISS)やハッブル宇宙望遠鏡(HST)、地球を周回する衛星などの既存ミッションだけをサポートしている。TDRSは2030年代まで運用される予定。これまでTDRSが担っていたような通信機能はCPSを利用することになる。