AstroXとJAXA、気球につるす姿勢制御装置を研究開発

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AstroXとJAXA、気球につるす姿勢制御装置を研究開発

2024.12.04 08:00

UchuBizスタッフ

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 気球成層圏まで運んだロケットを空中で発射させる「ロックーン(Rockoon)」方式で衛星を軌道に投入するサービスを研究開発するAstroX(福島県南相馬市)は、気球に搭載した大型構造物の姿勢を高精度に制御する装置を宇宙航空研究開発機構(JAXA)とともに研究開発する。12月3日に発表した。

 宇宙に関連した新事業を創出するプログラム「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の枠組みで進める。

 AstroXは、高高度での気球を活用した事業の実現を目指して、気球用の懸垂型姿勢制御装置の開発に着手し、すでに試作機の構築と試験を進めている。製品化に向けて確実に開発を進めている一方で、「飛翔中の気球ダイナミクスや成層圏環境に関する専門的知見」や「制御装置の実フライトによる実証試験」という課題を抱えているという。

 JAXA傘下の宇宙科学研究所(ISAS)は、気球を活用した天文観測などの研究があり、搭載する大型望遠鏡やセンサーの姿勢制御に関連する技術や知見が多数蓄積していると説明する。

 JAXAとISASはAstroXと2023年5月から対話を開始、技術と経験がAstroXの事業に活用できると判断した。JAXAとしても、高性能な姿勢制御装置を汎用のシステムとして構築できれば、今後の気象実験の基盤技術として次世代の天文観測を含むさまざまな実験に利用できると判断した。こうした背景からAstroXとJAXAは共創を進めると合意した。

 今回の共創では、AstroXは姿勢制御装置の地上での評価試験、製品として繰り返し利用するのに必要な高信頼化、高耐久化の技術開発、姿勢制御装置のパッケージ化開発を進める。JAXAは、気球本体につるす大型搭載物の姿勢を高精度で制御できる装置を開発する。開発した装置の実フライト試験環境の技術実証に向けて準備も進める。

 AstroXは、気球用プラットフォームとして懸垂型姿勢制御装置の開発を進めて高高度で気球を活用した事業の早期実現を目指す。加えて、高高度プラットフォーム(HAPS)や地上用クレーンなどの非宇宙分野製品への適用といった事業の拡大も狙っている。

 JAXAは、今回の共創で得られる姿勢制御装置を今後の気球での天文観測に活用して、気球実験の基盤技術の高度化が期待できるとしている。

 ISASは、宇宙科学研究のための成層圏気球(大気球、たいききゅう)による飛翔機会を提供するとともに、関連する技術や設備を開発している。大気球実験は、人工衛星や観測ロケットといった他の飛翔体による研究に比べて、短い準備期間でも実施でき、実験機器の大きさや形状などの制約条件が相対的に厳しくないなどの利点があるという。こうした特長を生かして、大気球実験は最先端の科学成果を生み出すとともに、新たに宇宙科学分野に参画しようとする多くの研究者の入口になっていると説明する。

 天文観測用の望遠鏡など気球に搭載した構造物の姿勢を制御する大気球実験は、過去にも多数の実績があり、今後も多くのニーズが見込まれるとISASは説明。今回の共創活動を通じて姿勢制御装置の汎用化や高機能化を進めることで、理工学研究でのこれらのニーズに応えるとともに、AstroXや非宇宙分野の事業で必要とされる技術にも貢献すると意義を解説している。

今回の共創のイメージ(出典:AstroX / JAXA)
今回の共創のイメージ(出典:AstroX / JAXA)

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AstroXプレスリリース(PR TIMES)

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