
ニュース
アークエッジ・スペース、「低軌道測位衛星」の実現可能性などを調査–JAXA選定
2024.10.18 08:30
アークエッジ・スペース(東京都江東区)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「低軌道測位衛星システム(LEO PNT)」について実現可能性調査(フィージビリティスタディ)の事業者に選ばれた。10月17日に発表した。
低軌道測位衛星システムは、高度約2万kmの地球中軌道(MEO)を周回する既存の衛星測位システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)よりも低い、高度900~1200kmの地球低軌道(LEO)を周回する小型衛星コンステレーションで測位情報を提供するシステム。米GPSなどの既存のGNSSよりも高強度で高精度の測位情報を提供できるという。
既存のGNSSは、地上に到達する信号強度の弱さから干渉の影響を受けやすく、最近ではジャミング(妨害)やスプーフィング(なりすまし)などの脅威が指摘されるようになっている。LEO PNT(Positioning、Navigation、Timing)では、GNSSよりも高強度の測位信号で、GNSSを補完するものとして期待されているという。LEO PNTの測位信号は精度が高く、自動車の自律走行など多くの分野での期待も高まっているとしている。


LEO PNTの衛星は、LEOを周回するように移動するため、新しい測位サービスをグローバルに展開できると説明。JAXAが研究開発に取り組んでいる高精度単独測位システム「MADOCA-PPP」など現在、準天頂衛星に基づいているサービスの提供エリアの拡大も期待できるとしている。
MADOCA-PPPは、米GPSなど複数のGNSSに対応した、高精度な軌道時刻を推定できるというソフトウェア「MADOCA」(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)で生成された補強情報でセンチメートル級で測位できるという。

今回の事業では、地上やLEOのユーザーに位置時刻情報(PNTサービス)を提供するLEO PNTで以下のようなフィージビリティスタディを進める。
- LEO PNTと衛星コンステレーションのトレードオフを評価
- LEOに配備する測位衛星の機上(オンボード)でのGNSS航法や測位信号生成を評価
- 測位信号の信号形式と使用する周波数帯を評価
- LEO PNT実証ミッションの概念設計(ミッションコンセプトの提案、衛星設計、軌道設計、衛星機数の評価など)
アークエッジ・スペースは、月での測位衛星システム(Lunar Navigation Satellite System:LNSS)などのシステムや開発計画の検討作業をJAXAから委託されている。