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航空機内ネット接続の米Gogo、ライバルのSatcom Directを総額920億円で買収へ–スターリンク対抗
ビジネス航空市場向けブロードバンド接続を手がける米Gogo Business Aviationは米国時間9月30日、機内向けの衛星通信サービスを提供するSatcom Directを買収すると発表した。
Gogoは中小規模のビジネス航空市場の市場を独占しており、約7000機の航空機をネットに接続している。Satcom Directは長距離路線で、圧倒的な市場シェアを誇っている。両社をあわせると、ネット接続が可能なビジネスジェットのほぼ90%にWi-Fi接続を提供していることになる。
Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)は、衛星ブロードバンドサービス「Starlink」を航空機にも提供している。すでにビジネス航空機でJSX、Pro Star Aviation、Flexjetと提携しており、仏Air France(エールフランス)も全機へのStarlinkの導入を発表している。
買収は規制当局の承認を条件として、Satcom DirectがGogoから現金3億7500万ドル(約530億円)と株式500万株を受け取る。また、今後4年間の業績目標に応じて最大2億5000万ドル(約360億円)の追加支払いを受け取り、総額は約6億3600万ドル(約920億円)となる見込みだ。
海外メディアのSpaceNewsによると、今回の取引について2023年時点で申請しても独占禁止法規制当局に承認されなかった可能性が高いという。しかし、Starlinkの台頭によって、業界全体が存続の危機にあると認識されるようになっていることから、今回の取引を規制当局は承認する可能性が高いとしている。