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海が地球の2倍?–木星の衛星「エウロパ」を探査したくなるもっともな理由
米航空宇宙局(NASA)の木星衛星探査機「Europa Clipper」(エウロパ・クリッパー)が米フロリダ州のケネディ宇宙センターから米国時間10月10日にSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の「Falcon Heavy」(ファルコンヘビー)ロケットで打ち上げられる予定。
Europa Clipperは氷に覆われた木星の衛星「エウロパ」の内部をレーダーで調査し、生命の存在が可能である条件が整っているかどうかを調べる。
エウロパの内部には、地球の海の2倍と考えられる水を含む海が存在し、地表には有機化合物やエネルギー源が存在する可能性が指摘されている。エウロパが居住可能と判断されれば、太陽系や太陽系以外の恒星系に居住可能な環境が存在することになるとして期待されている。
探査機の打ち上げ時の重量は6000kg。高さは約5m、太陽電池パネルを広げた幅は約30mとバスケットボールのコートよりも大きい。NASAが惑星探査ミッションで製造した探査機で最大という。
木星は地球から平均で約7億7000万km離れているために太陽から届く光も弱い。十分な光を集めるために、太陽電池パネルを大きくする必要がある。
Europa Clipperへは現在、燃料が積み込まれている。計画どおりに進めば、探査機は約29億kmの宇宙の旅の後、2030年4月に木星に到達することになる。木星に到達した後は、49回のフライバイでエウロパを調査する。
Europa Clipperはエウロパ周辺を飛行する際、強力な放射線に晒されることになる。海外メディアのSpace.comによると、9月17日に開かれた記者会見でジェット推進研究所(JPL)でEuropa Clipperのミッションプロジェクトマネージャーを務めるJordan Evans氏は「探査機は放射線の中に飛び込み、必要な科学データを取得する。その後に飛び出し、データを処理して地球へと送信する」と説明している。
木星は地球の2万倍もの磁場に囲まれていると考えられている。地盤が回転すると、荷電粒子が加速され、強力な放射線が発生する。このため、搭載される観測機器を放射線から保護するために、Europa Clipperの保管庫は慎重に設計されたという。Europa Clipperの軌道も木星周辺の放射線の多い場所に滞在する時間を制限するように設計されたとしている。
Europa Clipperのミッションは少なくとも4年間続く予定だ。ミッションの終了後、探査機は木星から3番目に遠い衛星「ガニメデ」に衝突し、その役目を終える。