ニュース

爆発で進む「次世代エンジン」、JAXAが11月14日に宇宙へ打ち上げ–液体燃料で動くか実証

2024.09.19 17:42

小口貴宏(編集部)

facebook X(旧Twitter) line

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「液体推進剤回転デトネーションエンジンシステム飛行実証実験」 を目的とした観測ロケット「S-520-34号機」を11月14日に打ち上げる。

 当初は8月11日に打ち上げられる予定だったが、8月8日に日向灘で発生した地震の影響で延期となっていた。

 S-520-34号機では、衝撃波を伴う爆発である「爆轟」のエネルギーを、安全かつ効率的に推力に変換する「デトネーションエンジンシステム」(DES)の軌道上実証を予定している。

液体推進デトネーションエンジンシステム

 デトネーションエンジンは、従来のエンジンよりも簡単な構造で容易に推力を生成できる。そのため、ピストンやタービンなどの複雑な構造が不要となり、エンジン自体も大幅に小型軽量化できる。将来の航空宇宙領域を担う次世代エンジンとして期待されている。一方、爆発を制御する技術や、爆発時に発生する衝撃波に耐える素材が求められるなど、技術的な困難さも伴う。

 なお、JAXAはこれまでに、回転式デトネーションエンジンの宇宙飛行実証をS-520-31号機で世界に先駆けて成功させた。その際はメタンと酸素の混合による気体燃料を用いていたが、今回の実証では液体燃料(エタノールと液化亜酸化窒素)を用いる。そして、液体燃料を用いたデトネーションエンジンが宇宙空間で動作するか実証する。

Related Articles