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DigitalBlastとElevationSpace、低重力での植物栽培実験の検討を開始

2022.08.17 16:13

飯塚直

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 DigitalBlast(東京都千代田区)は8月17日、ElevationSpace(仙台市青葉区)と小型宇宙利用・回収プラットフォームのサービス機「ELS-R1000」の利用に向けた検討を開始すると発表した。

 DigitalBlastは、月面での植物栽培を軸とした生態循環維持システム構築に向けたプロジェクト「NOAH」を始動させており、プロジェクトの第1弾となる重力発生装置「AMAZ」については、プロトタイプが完成済み。2024年の国際宇宙ステーション(ISS)での実験開始を目標に地上実験を進めている。

 今回、NOAHの第2弾となる重力発生装置「TAMAKI」を用いた植物栽培実験環境を提供するため、ElevationSpaceが開発、提供する小型宇宙利用・回収プラットフォームのサービス機であるELS-R1000の利用に向けた検討を開始することになった。

 重力発生装置のTAMAKIは、給水機能を備えた植物栽培装置としての開発を予定しており、装置の一部を回転させることにより生じる遠心力で月面と同じ重力(地球の6分の1)を再現できると説明。回転速度を変更することでさまざまな重力環境を再現できるという。同装置については、民間企業や研究機関向けに、実験環境として提供を予定する。

 近年、NASAによる「アルテミス計画」をはじめとした有人宇宙探査が盛り上がりをみせており、宇宙環境での食の確保や植物栽培に対する課題意識が高まっているという。

 しかし、ISSなどの微小重力環境が植物の育成に大きな影響を及ぼすことが明らかになっている一方で、月や火星といった低重力環境の植物育成への影響は現在十分に把握できていない。

 そこでTAMAKIを用いた月や火星を模した低重力環境での植物栽培実験環境を提供するため、ELS-R1000への同装置の搭載と2026年の初回打ち上げを目指し、両社で協議を進めていくという。

TAMAKIのイメージ(出典:DigitalBlast)
TAMAKIのイメージ(出典:DigitalBlast)

 DigitalBlastとElevationSpaceの技術を最大限に活用することで、微小重力環境下での植物栽培の実験環境を研究機関に提供するとともに、宇宙関連商品を開発する民間企業への実験結果を提供して、さらなる宇宙ビジネスの発展を目指すとしている。

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