月で今も火山活動?--これまでの定説覆す可能性、中国「嫦娥5号」の試料を分析

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月で今も火山活動?–これまでの定説覆す可能性、中国「嫦娥5号」の試料を分析

2024.09.10 17:30

塚本直樹

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 中国の月探査機「嫦娥(じょうが)5号」(Chang’e 5)が持ち帰った試料(サンプル)から月に活火山が現在でも存在している可能性があると、科学誌の「Science」に報告されている。

 嫦娥5号は2020年12月に打ち上げられ、月の「Oceanus Procellarum(嵐の大洋)」に着陸。1.73kgの月の鉱物をサンプルとして地球に持ち帰り科学者が分析を進めている

 今回の報告によれば、1億2300万年前(誤差は1500万年)という地質学的に最近の期間内に、月の表面で火山が噴火しており、現在でも火山活動が続いている可能性があるという。この発見は、月の内部が冷えているという私たちが知っている通説を覆す可能性がある。これまで月の火山活動は30億~38億年前まで続いていたと考えられていた。

 月で火山活動が最近起きていたと思われる証拠は、米航空宇宙局(NASA)の月探査機「Lunar Reconnaissance Orbiter(LRO)」も2014年に撮影している。月面で観測される「もや」のような現象も、月の火山からのガス放出が原因となっている可能性が指摘されている。

嫦娥5号の着陸船(ランダー)が撮影した月面(出典:CNSA / GRAS / NAOC)
嫦娥5号の着陸船(ランダー)が撮影した月面(出典:CNSA / GRAS / NAOC)

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