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JAXAロケット、地震で打ち上げ延期–「衝撃波を伴う爆発」で進む次世代エンジンを実証予定

2024.08.09 17:33

小口貴宏(編集部)

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月9日、観測ロケットS-520-34号機の打ち上げを延期したと発表した。

S-520-33号機の画像(出典:宇宙科学研究所)

 当初は8月11日の打ち上げを予定していたが、8月8日に日向灘で発生した地震の影響で延期した。射場の内之浦宇宙空間観測所での被害は確認されていない。

 S-520-34号機では、衝撃波を伴う爆発である「爆轟」のエネルギーを、安全かつ効率的に推力に変換する「デトネーションエンジンシステム」(DES)の実証を予定している。

 デトネーションエンジンは従来のエンジンよりも容易に推力を生成できるため、ピストンやタービンなどの複雑な構造が不要で、エンジン自体も大幅に小型軽量化できる。将来の航空宇宙領域を担う次世代エンジンとして期待されている。

  JAXAはすでに回転デトネーションエンジンの宇宙飛行実証をS-520-31号機で世界に先駆けて成功させている。その際は気体燃料(メタンと酸素の混合ガス)を用いていたが、今回の実証では液体燃料(エタノールと液化亜酸化窒素)を用いる。そして、液体燃料を用いたデトネーションエンジンの宇宙空間での飛行実証をめざす。

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