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宇宙船「クルードラゴン」、米西海岸に着水へ–その意外な理由
Space Exploration Technologies(SpaceX)は7月26日、宇宙船「Crew Dragon」に由来するゴミの落下報告を受け、Crew Dragonの着水地点を変更すると発表した。海外メディアのSpace.comが報じた。
Crew Dragonの破片は、オーストラリアから米ノースカロライナ州までの地域で繰り返し地上に落下している。これは、宇宙船に燃料と電気用品を格納するトランクと見られている。
「過去のDragonと同じように、トランクを投棄する前に軌道離脱燃焼を完了するようにソフトウェアを変更し、トランクを意図的に無人の海域に着水させる予定だ」と、SpaceXでDragonミッション管理ディレクターを務めているSarah Walker氏は述べている。「この変更を可能にするために、2025年中にDragonの回収船を太平洋に移動させる予定だ」
SpaceXは8月18日以降に「Crew-9」ミッションとして、国際宇宙ステーション(ISS)にCrew Dragonを打ち上げる。Crew-9は、Crew Dragonが大西洋に着陸する最後のミッションとなる可能性がある。
Crew Dragonは、米航空宇宙局(NASA)が民間企業であるSpaceXにISSに宇宙飛行士の送迎を委託する「商業乗員輸送プログラム(Commercial Crew Program:CCP)」としてSpaceXが運用している。
8月18日以降に打ち上げられる予定のCrew-9には、コマンダー(船長)としてZena Cardman氏、パイロット(操縦士)としてNick Hague氏、ミッションスペシャリストとしてStephanie Wilson氏(3人はNASA所属)、ロシアRoscosmos所属のAlexander Gorbunov氏が搭乗する。
現在、ISSには米Boeingの宇宙船「Starliner」がドッキングしている。NASAは、BoeingともCCPを契約しており、Starlinerは有人飛行試験(Crew Flight Test:CFT)として2人の宇宙飛行士を6月7日にISSに輸送した。
2人の滞在は当初1週間程度を予定。ヘリウム漏れやスラスターなどの問題から地球への帰還は何度も延期され、現時点でStarlinerは7月末にも帰還できるとみられている。
Crew-9のCrew DragonがISSにドッキングするには、StarlinerはISSとのドッキングを解除する必要がある。Crew-9の帰還は来春の予定。