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建設中のトンネル坑内「携帯がつながらない」は過去の話に?–スターリンクでauエリア化をKDDI、清水建設らが実現

2024.07.26 15:04

小口貴宏(編集部)

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 KDDI、清水建設、鉄道建設・運輸施設整備支援機構は7月25日、「Starlink」を活用して建設中のトンネル坑内をauエリア化したと発表した。建設中の北海道新幹線 渡島トンネルで実施したもので、Starlinkを活用したトンネル坑内の携帯エリア化は日本初の試みとなる。

 建設中のトンネル坑内の通信環境はこれまでWi-Fiが用いられていたが、大型機械による遮蔽などで通信エリアが数十mと狭いことや、長いトンネル坑内全体をカバーしようとすると、必要な機器数が多くなり、設置やメンテナンス作業が煩雑になる課題があった。

 加えて、発破による影響を避けるため、Wi-Fiアンテナの設置場所に制限があり、切歯から200mの範囲には通信環境を構築できず、現場からの緊急連絡やDX化に制約があった。

 今回、Starlinkをバックホール回線として利用した「Satellite Mobile Link」を建設現場に導入し、最小限の設備で約4kmの範囲に通信環境を構築した。具体的には、坑外にStarlinkアンテナを設置し、auの電波を吹くアンテナを坑内の2個所に設置した。この結果、切場付近も含めたトンネル坑内で緊急通報を含めた音声通話やデータ通信が可能になった。

 今回の取り組みによって、緊急対応時の関係者との迅速な連絡や、電子図面の活用による効率的で高度な施工管理、高解像度の映像伝送による施工立会の遠隔臨場などICT活用を飛躍的に進められるようになった。また、スマートドローンやロボット、建設機械の遠隔操作を活用した建設現場のさらなるDX化が期待できるとしている。

KDDI

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