JAXAとQPS研究所、「オンボードPPPアルゴリズム」成熟度向上を共同で研究

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JAXAとQPS研究所、「オンボードPPPアルゴリズム」成熟度向上を共同で研究

2024.07.18 08:30

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とQPS研究所(福岡市中央区)は、軌道上(オンボード)で高分解能の衛星画像を処理するための「高性能オンボードコンピューティング環境」と衛星軌道位置情報を高精度に獲得する「オンボード高精度単独測位(Precise Point Positioning:PPP)」技術を組み合わせて、「オンボードPPPアルゴリズム」の成熟度をアジャイルに向上させる研究を共同で進める。7月16日に発表した。

 オンボードで実験した結果を分析し、より良いアルゴリズムになるように積極的に書き換える技術実証を進める。軌道上での実証結果を踏まえて、オンボードPPPアルゴリズムを書き換える実証サイクルで、従来の「地上で開発して宇宙で実証する」という研究・宇宙実証サイクルよりも圧倒的に早くアルゴリズムの技術成熟度向上を目指すという。

 オンボードPPPアルゴリズム技術の成果は、地球観測衛星ユーザーへの画像データ提供時間を短縮したり、衛星画像の精度が向上したりするといった効果が期待できるという。また、宇宙天気予報の高度化、上層大気観測への貢献なども期待できるとしている。

 共同研究で進める、高性能オンボードコンピューティング環境は、従来の宇宙機用コンピューティング環境の約40倍の能力という。地上用の汎用のコンピューターで開発したソフトウェアをそのまま軌道上でインストールできる環境と説明。ソフトウェアのバージョンアップも可能であり、異なるソフトウェアも容易に追加できる環境としている。

 オンボードPPP技術は、測位衛星からの2つの周波の測位信号と準天頂衛星から出る「MADOCA」(Multi-GNSS ADvanced Orbit and Clock Augmentation)の補正情報を使用して、オンボードでリアルタイムにセンチメートル単位で衛星軌道位置を推定できるという技術。MADOCAの補正情報を使用しない場合にオンボードで実現できるリアルタイムの衛星軌道位置推定精度は数メートルから十数メートル程度とされている。

関連情報
JAXAプレスリリース

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