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アストロスケールの「ADRAS-J」、デブリの周回観測を初実施
2024.07.09 16:54
アストロスケールは7月9日、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」で一度目となるデブリの周回観測を6月19日に実施したと発表した。
ADRAS-Jは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が推進する商業デブリ除去実証(Commercial Removal of Debris Demonstration:CRD2)の「フェーズ1」を受託する形でアストロスケールが開発を進め、2024年2月18日に打ち上げられた。
同衛星の目的は、日本由来の巨大スペースデブリであるH-IIA上段への接近観測だ。デブリを除去するにはデブリに安全に近づく必要があり、その技術の実証を目指している。
6月19日に実施した周回観測では、LiDARセンサーを用い、デブリから50mの距離を維持して周回しながらデブリを連続撮影した。なお、約120度周回したところでデブリとの相対姿勢制御の異常を検知。アボート機能を発動して自律的に周回を停止した。現在はデブリから一旦退避しているという。
なお、衛星のデブリへ衝突は、デブリの軌道が複雑化したり、新たなデブリが発生する可能性があるため、絶対に避けなければならない。そのためのアボート機能が正常に動作したことは、今回の周回観測の成果となる。
アボートによる機体への影響はなく、相対姿勢制御異常の原因も判明したという。今後は対策を施し、再度の接近に挑むとしている。
これまでのADRAS-Jミッションの運用実績は下記の通り。
・2月18日:Rocket LabのElectronロケットにより打上げ
・2月22日:デブリへの接近を開始
・4月9日:相対航法(AON)と近傍接近を開始
・4月16日:相対航法(MMN)を開始
・4月17日:デブリの後方数百mへの接近に成功
・5月23日:デブリ後方約50mへ接近に成功
・5月23日:定点観測(1回目)を実施
・6月17日:定点観測(2回目)を実施
・6月19日:周回観測(1回目)を実施 ←New