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アストロスケール、宇宙ゴミ除去実証衛星「ADRAS-J」でデブリに約50mまで接近成功

2024.06.14 17:49

UchuBiz編集部

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 宇宙ゴミ除去などに取り組むアストロスケールは6月14日、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ)」のミッションにおいて、デブリに約50mまで接近することに成功したと発表。また、その距離において定点観測を実施したことを明らかにした。

観測対象のデブリの画像(2024年5月、デブリの後方約50mの距離から撮影)

 ADRAS-Jは実際のデブリに安全に接近し、近距離でデブリの状況を調査する世界初の試みだと同社では説明。具体的には、大型デブリ(日本のロケット上段:全長約11m、直径約4m、重量約3トン)への接近・近傍運用を実証し、長期間軌道上に存在するデブリの運動や損傷・劣化状況を撮像する。

 2月22日に開始した接近の運用では、軌道投入時にはデブリと異なる軌道にあった衛星を、GPSと地上からの観測値という絶対的な情報を用いて(絶対航法)デブリと同じ軌道へと調節し、デブリの後方数百kmにまで接近した。

 4月9日には、ADRAS-J搭載のVisCam(可視光カメラ)によってデブリを捕捉し、衛星搭載センサを駆使してデブリの方角情報を用いる相対航法(AON)を開始。この方角情報も用いながら相対軌道を制御して距離を詰め、デブリの後方数kmの距離において、衛星搭載のIRCam(赤外カメラ)でデブリを捕捉したという。

 さらに4月16日、IRCamによって取得するデブリの形や姿勢などの情報を用いる相対航法(MMN)を開始し、4月17日にデブリの後方数百mへの接近に成功。そして今回、デブリの後方約50mへの接近とデブリの定点観測に成功した。

 同社によれば、民間企業がRPO(ランデブ・近傍運用)を通じて実際のデブリに接近した、世界で最も近い距離になるという。

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