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NTT、宇宙ビジネス新ブランド「C89」立ち上げ–「10年後に売上1000億円規模」と島田社長
2024.06.03 15:17
日本電信電話(NTT)は6月3日、宇宙ビジネスの新ブランド「NTT C89」を立ち上げた。これまで分散していた同社の宇宙ビジネスを有機的に束ね、事業展開を加速する方針。代表取締役社長を務める島田明氏は宇宙ビジネスの売り上げについて「現状は数十億円レベルだが、10年後には1000億円規模にもっていきたい」と意気込んだ。
4つの注力領域
NTT C89は「NTT Constellation 89 Project」の略で、これは「星座の数は88だが、我々は89番目の星座になりたい」という意味を込めた。
NTTは今後の宇宙ビジネスについて、同ブランドのもと「静止軌道」「低軌道での観測衛星」「成層圏でのHAPS」「低軌道通信」の4領域に注力するという。
静止軌道
1つ目の静止軌道では、NTTはすでに静止軌道を周回する通信衛星「N-STAR」による衛星電話サービス「ワイドスター」を提供している。今後は、スカパーJSATとの合弁で設立したSpace Compassが、衛星間光通信で観測衛星向けに高速通信サービスを提供する「光データリレー」の提供を準備している。
観測衛星
2つ目の観測衛星の取り組みでは、低軌道に独自の観測衛星コンステレーションの構築を検討する。また、データ処理面では、観測衛星からのデータからデジタル3D地図を作成する「AW3D」をすでに提供している。今後は、観測衛星からのデータをデジタルツインとして反映して、シミュレーションなどに活用できるサービスの提供を目指す。
HAPS
3つ目のHAPSでは、太陽光発電で成層圏を飛行するモーター付きのグライダーから、地上に対して携帯エリアを提供する。これによって、山間部や島嶼部といった地上基地局の設置が困難な地域でも、スマートフォンに高速大容量通信を提供できる。2024年1月の令和6年能登半島地震では通信の復旧が課題となったが、HAPSなら1機で能登半島全体をカバーできるという。
HAPSはNTTとスカパーJSATの合弁であるSpaceCompassが提供する。NTTドコモと協力し、2026年の日本でのサービス開始をめざすという。なお、サービス開始当初は、得られる太陽エネルギーの問題から、飛行できるのは日本の南半分に限られるが、2030年をめどに北海道への拡大をめざす。なお、当初は法人向けサービスとして提供し、その後一般向けにサービスを展開するとしている。
低軌道通信
4つ目の低軌道通信では、NTTはすでに「Starlink Business」を提供しているほか、2023年には米Amazonの「Project Kuiper」(Kuiper)と戦略的協業を締結。Kuiper2024年内の日本での実証実施を目指す。技術面では、光通信技術を宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同開発しているほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と衛星コンステレーション基盤技術にも取り組んでいる。