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大規模な太陽フレア発生、コロナガスが地球に–地磁気嵐が発生する可能性も
2024.05.10 18:24
大規模な太陽フレアの発生が確認され、太陽フレアに伴うコロナガスが地球方向に放出され、5月10日の夜以降に順次到来することが予想されている。コロナガスの影響から地球周辺の環境が数日間大きく乱れる可能性があり、地球を周回する衛星や衛星測位システム(GNSS)による測位の誤差の増大、短波通信障害が生じる恐れがあるという。
「宇宙天気予報」を運営する情報通信研究機構(NICT)が5月10日に発表した。
大規模な太陽フレアの発生は5月8日午前10時41分以降、5月10日午前2時44分までに、太陽面中央付近に位置する黒点群13663と13664で5回発生している。
太陽から放出されたコロナガスは、5月10日の遅い時間帯から数日にわたって順次地球に到来することが予想され、地磁気嵐が発生する可能性があると説明。この影響で地球周辺の宇宙環境が数日間乱れる可能性があるという。今後数日間は、非常に活発な黒点群による同規模の太陽フレア、太陽フレアに関連する現象の発生に注意が必要と呼び掛けている。
太陽フレアは、太陽の黒点付近で発生する爆発現象。強い紫外線やX線、電波などが放射される。加えてコロナガスが放出されることもある。発生したフレアのX線強度の最大値から小規模なものからA、B、C、M、Xの順でクラス分けされる。今回の確認された太陽フレアの規模はいずれもXクラス。5月9日午後6時13分の爆発規模はX2.2。
太陽の上層大気であるコロナのガスが惑星間に放出される現象は「コロナ質量放出(Coronal Mass Ejection:CME)」とも呼ばれる。2023年2月に発生したCMEの影響で、英イングランド南部とドイツ中部でオーロラが確認された。
大規模な太陽フレアは地球の電離層に異常が発生することで生じる「デリンジャー現象」を引き起こすことがある。デリンジャー現象は、通信衛星や放送衛星、観測衛星、測位衛星に影響を及ぼすこともある。
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宇宙天気予報発表