地上局をクラウドで利用できる「GSaaS」のスカイゲート、第三者割当増資--防衛テックでも注目

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地上局をクラウドで利用できる「GSaaS」のスカイゲート、第三者割当増資–防衛テックでも注目

2024.04.08 14:08

UchuBizスタッフ

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 クラウド地上局プラットフォーム「Skygate」などを開発するスカイゲートテクノロジズ(東京都千代田区)は4月8日、第三者割当増資で資金を調達したことを発表した。調達額は非公表。

 Skygateは、衛星の追尾性能が高いという小型アンテナユニットと既存の10倍以上の高速通信が可能というソフトウェアを開発して、衛星からの電波を受信して、データをクラウドに転送するまでのインフラを一気通貫で提供できると説明するサービス。衛星のデータが直接クラウドにつながっているような感覚で利用できるという。衛星データを受信する地上局をクラウドから利用できることから「Ground as a Service(GSaaS)」と呼ばれている。

 スカイゲートはGSaaSを開発するとともに、「ゼロトラスト」を呼ばれるアーキテクチャを実現できるクラウドセキュリティサービス「Skygate Cygiene」を開発、提供している。元自衛官を含む、宇宙や防衛、セキュリティなどの深い知見があるというメンバーで構成されたチームの特性を生かしていると説明する。

 スカイゲートは「存続可能性に関する課題を解決する」をミッションに宇宙やサイバー、電磁波といった領域でプロダクトやサービスを提供していると説明。急激に悪化する国際安全保障環境の中で宇宙空間やサイバー空間、電磁波空間の安全な利活用、国際社会の安定に関する社会的ニーズは高まっており、多くの国でこれらの領域に対する投資が成長路線にあるとの認識を示している。

 今回の資金調達を受けて、安全保障領域に適用できる宇宙やサイバー、電磁波の領域での技術を軸に事業をより拡大していくとしている。

 同社は、日本を取り巻く安全保障の環境は近年、類を見ないほど悪化していると評価されていると解説。大国の武力による現状、国家をまたぐサイバー攻撃の増加、AI(人工知能)の急激な進化による懸念など国際的な不安定要素が大きくなりつつあるとの見方を示している。

 こうした脅威に対抗するためには、国家間の協力が欠かせず、安全保障のあり方は、よりデータとテクノロジーを中心とした協力を価値観が共有できる国家間でどのように進めていくのかというあり方に変わりつつあると解説する。膨大なデータの中から国家間の協力に必要な状況認識を各国がどのように相互に提供し合うかは今後、一層重要な課題と捉えているとしている。

 状況認識を強化する宇宙領域と組織間の機微な情報の安全な共有、コミュニケーションを確実にするサイバーセキュリティの技術は、安全保障と一層密接に関係しており、積極的な投資領域になっていると同社は指摘する。

 防衛や安全保障について技術やサービスを開発する企業は「Defense Tech」(防衛テック)と総称され、米国を中心にその存在が注目されているという。急激に変化する国際情勢の中で従来の防衛産業だけでは、先端技術の安全保障領域への適用に追随していくことは困難と指摘。センシングやデータ処理、意思決定システムといった領域でソフトウェアやAIといった新しい技術を適用した企業の存在が今後も重要になるとしている。

 Genesia Venture Fund 3号投資事業有限責任組合とみずほ成長支援第5号投資事業有限責任組合が引き受けた。出資金総額が150億円のGenesia Venture Fund 3号投資事業有限責任組合は、プレシードやシード期のスタートアップ企業に投資、経営を支援するというベンチャーキャピタルであるジェネシア・ベンチャーズが運営。出資金総額が150億円のみずほ成長支援第5号投資事業有限責任組合は、みずほ銀行や同行が所属するみずほフィナンシャルグループのみずほキャピタルが運営している。

関連情報
スカイゲートプレスリリース(PR TIMES)

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