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NEDO、研究開発コンテスト開始–衛星データで課題を解決するシステム、1位には1000万円
2024.03.19 08:00
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、技術課題や社会課題を解決するためのさまざまな技術や解決策をコンテスト形式での懸賞金型の研究開発方式で募る「NEDO懸賞金活用型プログラム」(NEDO Challenge)を立ち上げた。3月18日に発表した。
海外では、政府や財団が研究開発の目標を掲げて多数の応募者を募り、さまざまなアイデアやアプローチをコンテスト形式で競わせ、開発期間が終わった段階で目標水準以上の成果を上げた上位数者に懸賞金を支払う仕組みを採用している。これが懸賞金型の研究開発方式だ。
日本では、懸賞金型の研究開発方式はまだ多くないが、懸賞金については民法に定められているとし、今回立ち上げたNEDO Challengeも民法に基づいて懸賞金を交付すると説明している。
懸賞金型研究開発方式は、特定の技術や手段に依存せずに、成果に報酬を支払う仕組みだが、委託や補助と比較すると、解決に向けたアプローチが定まっていないような課題への対応、課題解決に適した技術やアイデアがある人材の発掘、企業に内在する技術を事業化のために洗練する機会として活用することが有効と考えられている。野心的な目標について、いち早く達成した者に大規模な懸賞金を支払う、世界でも類を見ないようなものも含め、今後幅広い目的に活用していくという。
NEDO Challengeの第1弾として、3月18日から募集を開始した「Satellite Data for Green Earth」(衛星データを活用したソリューション開発)では、グリーン分野での新産業や新規ビジネスの創出を目指して、衛星データなどを活用して課題を解決するシステムの開発者に懸賞金を交付する。公募対象となる3つのテーマは以下の通り。
- カーボンクレジット基盤構築(グリーン・ブルーカーボンなど)
[具体的な技術開発テーマ例]- 森林や農地、水域などバイオマスの「測定、報告、検証(Measurement、Reporting、Verification:MRV)」手法の開発
- 森林や農地、水域などの効率的な維持管理など関係する業界や個社の抱える課題解決
- 上記の複合、または、その他対象での技術開発
- エネルギーマネジメント基盤構築(風力・太陽光など)
[具体的な技術開発テーマ例]- 風力や太陽光などの再生可能エネルギーでの適地探索や発電電力量、需要予測などの手法の開発
- 関係する事業者や行政などの意思決定支援、点検や保守などでの業務効率化
- 上記の複合、または、その他対象での技術開発
- 気候変動・環境レジリエンス基盤構築(火災・水害・生物多様性など)
[具体的な技術開発テーマ例]- 浸水などの風水害に対する被害の把握や軽減、火山や林野などの火災の早期検知手法の開発
- 気候変動、生物多様性など自然資本の回復に資する環境評価手法の開発
- 関係する事業者や行政などでの意思決定の支援や業務の効率化
- 上記の複合またその他対象における技術開発
懸賞金額は、テーマ1~3それぞれに1位1000万円、2位400万円、3位200万円となっている。
個人やグループ、法人の区別なく応募できる。大企業やスタートアップ、上場か非上場かも問わない。スタートアップ企業は機関投資家から資金を調達していても応募可能。
ただ、内閣府の「競争的研究費制度」に該当するような、国の競争的研究費に創出された成果については応募できないとしている。また、明らかに事業化を目指す意思がないと考えられるアイデアの応募は選考対象外になるという。
公募期間は4月30日まで。5月下旬に書類での1次審査がある。1次審査を通過した応募者に開発環境を提供するとともに、専門家によるメンタリングを受ける機会が6~12月に提供される。
2025年1月にプレゼンでの2次審査があり、同月下旬に受賞者を決定する予定。懸賞金交付は2025年3月を予定している。
応募の方法や様式などは専用ウェブサイト「NEDO Challenge, Satellite Data for Green Earth」にまとめられている。コンテストの内容や提出書類などのオンライン説明会を2024年4月3日午前10~11時に予定している。
関連情報
NEDOプレスリリース(PR TIMES)
Satellite Data for Green Earthウェブサイト