ニュース
【画像】NASAより先に「火星の砂」を持ち帰る日本の探査機「MMX」–JAXAが2分の1模型公開
2024.02.22 10:06
火星の衛星「フォボス」に着陸し、火星由来の砂や塵を地球に持ち帰る日本の探査機「MMX」(Martian Moons eXploration)。2026年にも打ち上げられる同探査機の2分1スケール模型が「2024 国際宇宙産業展」(2月20日〜22日開催)で展示された。
フォボスに堆積した「火星の砂塵」を地球に持ち帰るMMX
MMXは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ」「はやぶさ2」に続くサンプルリターンミッションだ。半径11kmほどのフォボスに着陸して砂塵を採取。それらを地球に持ち帰ることで、太陽系の形成や、生命に不可欠な水や有機物の起源について、新たな知見を得ることを目的としている。
現時点では、NASAの火星サンプルリターンミッションよりも早く、火星表面のサンプルを地球に持ち帰ることが期待されている。フォボス表面には、隕石衝突によって火星表面から吹き飛ばされた砂や塵がかなりの量降り積もっていると考えられているためだ。火星圏への到着は2027年、火星圏からの離脱は2030年。地球への帰還は2031年を予定している。
そのほか、フォボスの「天然の宇宙ステーション」としての活用可能性も探る。MMXは、レーザーの反射から表面高度などを調べる「LiDAR」や、表面地形を詳細に観測する40cm解像度の望遠カメラ、多波長カメラなど11の科学機器を搭載し、詳細なリモートセンシングを実施する。そして、将来の有人火星探査の中継拠点としてフォボスを活用できないか探る。
SLIMで脱落した「500Nスラスター」を6基搭載
MMXは火星圏と地球を往復するというミッションの特性上、500Nスラスターを6基搭載する。同スラスターは日本初の月面着陸を果たした小型月着陸実証機「SLIM」では2基搭載されたが、うち1基が着陸直前に機体から脱落し、結果として「逆立ちの月面着陸」となってしまった。MMXでは同スラスターを6基も用いるため、スラスターの信頼性の回復が急がれている。