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【速報】アストロスケールの「ADRAS-J」は2月18日打ち上げ–デブリ化した「H-IIA上段」に手が届く距離まで接近し調査

2024.02.08 07:05

小口貴宏(編集部)

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 日本の宇宙ベンチャーであるアストロスケールは2月8日、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」の打ち上げを日本時間の2月18日に実施すると発表した。Rocket Labの「Electron」ロケットに搭載され、ニュージーランドのマヒア半島にある射場から打ち上げられる。

 ADRAS-Jは、日本由来の巨大スペースデブリ「H-IIA上段」に手を伸ばせば届く距離まで接近し、同デブリ全体の写真や動画の撮影を目指している。同デブリは2009年に打ち上げられたH-IIAロケット15号機の第2段で、全長約11m、直径約4m、重量約3トンだ。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が推進する商業デブリ除去実証(Commercial Removal of Debris Demonstration:CRD2)の「フェーズ1」を受託する形で開発が進められており、ミッション完了期限は2024年3月末だ。当初は2023年11月に打ち上がる予定だったが、RocketLabがElectronロケットの打ち上げに失敗したことに伴い延期されていた。

 ミッションでは、長期間軌道を漂うデブリの劣化状況などを詳細に調査する。同ミッションが成功すれば、実際にデブリを捕獲して大気圏に再突入させるCRD2「フェーズ2」実施の足がかりとなる。

ADRAS-J

 また、H-IIA上段は位置情報をGPSデータで発信していない非協力物体だ。そのため、最終接近には可視光カメラ、赤外線カメラ、LiDARを用いた相対航法を用いる。さらに、地上観測などの結果、振り子運動をしている可能性がるといい、手を伸ばせば届く距離まで接近するには、推進器(スラスター)でデブリの動きに追従する必要があるなど、繊細な制御が求められる。

 ADRAS-Jは2023年10月に東京本社からの出荷を完了しており、現在はニュージーランドにあるRocket Labの施設にて、打上げに向けた最終準備を進めているほか、東京の拠点においても、ミッション運用に向けた確認作業を実施している。

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