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衛星向け「水エンジン」のPale Blue、茨城県つくば市に新拠点—「国内外から問い合わせ急増」で

2024.01.24 15:00

小口貴宏(編集部)

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 Pale Blue(千葉県柏市)は1月24日、茨城県つくば市に生産技術開発拠点を立ち上げると発表した。約1億5000万円の補助を見込む「茨城県企業立地促進補助金」にも採択され、茨城県との連携も強化する。

Pale Blueの水エンジン

 新拠点は茨城県つくば市の1911m2の土地に建設する。人工衛星用推進器の量産型推進器を開発し、将来的な推進機の製造や試験、出荷につなげるという。

 Pale Blueは、「水エンジン」と呼ぶ電気スラスターを開発する東京大学発のスタートアップだ。水エンジンは、液体の水から生じる水蒸気の噴出を推進力とするもので、従来の推進剤であるキセノンやヒドラジンのような危険性がなく、取り扱いが容易で低コストな点が特徴。ソニーの衛星「EYE」に採用されたことでも話題となった。

 宇宙業界では、複数の小型衛星を打ち上げて、相互に連携させる「衛星コンステレーション」が急成長しており、小型衛星向け推進器の需要が増えている。また、ウクライナ侵攻に伴う小型衛星向け電気スラスターの需要逼迫などを背景に、海外からの引き合いも強くなっている。

 Pale Blueも発表で「国内外の衛星事業者からの問い合わせが急増していることから、水推進機(水エンジン)の事業拡大に向けた生産技術開発拠点をつくば市に立ち上げることを決めた」と説明した。

 新拠点をつくば市に決定した理由については、同社の「柏の葉研究開発拠点」(千葉県柏市)とも近く、つくばエクスプレス線や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)へのアクセスが良い点。さらに、拠点周辺に商業施設の建設が予定されており、働きやすい周辺環境が期待できる点などが決め手となったという。

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