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Pale Blue、中小企業庁「Go-Tech事業」に採択–水が燃料の電子源の事業化を支援
2022.07.06 08:00
東大発宇宙ベンチャーPale Blue(千葉県柏市)は7月5日、中小企業庁の2022年度「成長型中小企業等研究開発支援事業」(Go-Tech事業)公募で補助事業として採択されたと発表した。
同社は、安全無毒である水を推進剤とした持続可能な小型衛星用推進機の技術革新や社会実装に取り組んでいる。水とマイクロ波を用いた「電子源」の大電力化の研究開発を進めており、需要が高まっている50~100kg級の人工衛星向け水推進機(プラズマエンジン)の事業化を進めている(電子源とは、衛星の電気的中立を保つためのイオンと同数の電子を外部に放出する装置)。
Go-Tech事業は、中小企業などが大学などと連携する研究開発や事業化に向けた取り組みについて、最大3年間支援するものとなる。事業補助上限額は、3年度合計で最大3億円。
今回採択されたのは、同社が主たる研究などの実施機関となる「水を用いた人工衛星用電子源の大電力化に向けた研究開発」。
同社によると、50~100kg級の小型衛星を複数台同時に協調、連携させて使用する衛星コンステレーションなどにより、市場が拡大しているという。
しかし、現在の小型衛星の大半は推進機を搭載していないため、能動的に軌道や姿勢を維持して運用寿命を延長させたり、軌道を離脱させたりすることができず、人工衛星の打ち上げ台数の増加に伴う宇宙ゴミ(スペースデブリ)の増大が深刻な問題となっている。
持続可能な宇宙開発を実現させるためには、人工衛星への推進機搭載を必須とし、人工衛星の軌道を制御しながら、衛星サービスを展開、拡大していく必要がある。
現在、大型衛星に搭載されている推進機は、体積や重量、コストの観点から小型衛星に適用することが難しく、高圧ガスや有毒物を推進剤として使うため、環境への配慮や持続可能性の点でも問題がある。
そこで、水を燃料とした電子源を開発し、小型衛星への水推進機搭載を推進することで、持続可能な宇宙開発の実現を目指すとしている。
今回の採択を機に小型衛星コンステレーションを中心とする50~100kg級衛星に向けた推進機の提供を拡大。搭載した小型衛星の地球周回軌道における高度変更、地球周回軌道から月周回軌道への軌道変更が可能になるような、小型衛星の利用拡大、持続可能な宇宙開発を推進していくという。