NASA、光を曲げる新技術「Photon Sieve」で太陽観測--精度が現行の10~50倍に

ニュース

NASA、光を曲げる新技術「Photon Sieve」で太陽観測–精度が現行の10~50倍に

2023.12.27 07:00

塚本直樹

facebook X(旧Twitter) line

 米航空宇宙局(NASA)は将来の太陽観測ミッションに向け、「Photon Sieve(フォトン・シーブ)」とよばれる「ふるい」を開発している。

 フォトン・シーブは、赤外線をカメラに向けてわずかに曲げるレンズ技術だ。レンズはハニカム(蜂の巣)形状で、シリコンやニオブ素材で形成された100ナノメートルの薄い膜を支えている。それぞれのハニカムの中心には穴が空いていて、通過する紫外線を屈折させ、曲げることができる。

 科学者は太陽から加速して放出される荷電粒子を分析することで、その表面の特徴を解明しようとしている。フォトン・シーブではより波長の短い極端紫外線(extreme ultraviolet:EUV)で観測することで現在運用中の太陽観測衛星「Solar Dynamics Observatory(SOD)」の10~50倍の精度での観測が見込まれている。

 2024年の打ち上げが予定されている太陽観測衛星「Virtual Super Optics Reconfigurable Swarm(VISORS)」には、厚さ250マイクロメートルのフォトン・シーブが搭載される。2027年に打ち上げられる太陽観測衛星「Multi-slit Solar Explorer(MUSE)」でも、フォトン・シーブが活用される予定だ。

(出典:NASA)
(出典:NASA)

関連リンク
NASA解説

Related Articles