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QPS研究所、小型SAR衛星5号機「ツクヨミ-I」のアンテナ展開に成功–次は画像取得
2023.12.18 12:30
小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発、運用するQPS研究所(福岡市中央区)は、12月15日に打ち上げた「QPS-SAR」衛星5号機「ツクヨミ-I」のアンテナ展開を成功させた。
ツクヨミ-Iは、QPS研究所の小型SAR衛星5号機。米Rocket Labの小型ロケット「Electron」で日本時間12月15日午後1時6分に打ち上げられた。今回の打ち上げはツクヨミ-Iのみを打ち上げる専用ミッションだったため、月の神「ツクヨミ(月読、月夜見)」という衛星の愛称にちなんでミッション名「The Moon God Awakens」(月の神の目覚め)が選ばれていた。
打ち上げは正常に行われ、高度575kmで軌道投入に成功。打ち上げから約40分後に初交信にも成功し、搭載機器の正常動作も確認できた。
QPS研究所は、12月16日朝に収納していたツクヨミ-Iのアンテナ展開を開始。その後、無事に展開したことを確認した。
今後、衛星の調整を続け、初画像の取得を目指す。
QPS研究所は現在、1号機「イザナギ」、2号機「イザナミ」、6号機「アマテル-III」の3機を運用中。これにツクヨミ-Iが加わる(3号機と4号機は、2022年10月の「イプシロン」ロケット6号機の打ち上げ失敗で失われてしまった)。既存の3機が太陽同期軌道(SSO)で周回中なのに対し、5号機は中傾斜の傾斜軌道に投入されている。
QPS研究所は、従来のSAR衛星に比べ質量が20分の1、製造コストが100分の1という小型SAR衛星を開発する企業。現在、夜間や天候不良時でも高分解能かつ高画質に観測できるSAR画像を提供している。
衛星を毎年複数機打ち上げ、2025年以降を目標に36機体制の小型SAR衛星によるコンステレーションを構築する計画。実現すれば、平均10分ごとの「準リアルタイム地上観測データサービス」の提供が可能になるという。
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QPS研究所プレスリリース