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EY新日本、「宇宙ビジネス支援オフィス」設置–スタートアップのIPOを支援

2023.12.04 16:11

飯塚直

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 監査法人のEY新日本は12月1日、宇宙ビジネス分野の拡大を支援する「宇宙ビジネス支援オフィス」を新たに設置したと発表した。

 EY新日本はこれまで、宇宙港(スペースポート)に関する財務アドバイザリー業務、宇宙スタートアップ企業の新規株式公開(IPO)支援などの宇宙関連サービスを提供してきたと説明。今回の支援オフィスの設置を機に、アドバイザリー業務をより強化し、宇宙スタートアップ企業のIPOを重点的に支援していくという。

 宇宙技術の発展に伴い充実する「宇宙・衛星データ」を活用した監査・保証業務、データそのものの信頼性確保に向けたサービス開発にも取り組んでいく。財務会計領域での宇宙ビジネスへのサービス拡大を目指す。

 宇宙ビジネス支援オフィスを設置した背景には、宇宙ビジネスの飛躍的な成長があるという。

 衛星の小型化や高性能化が進んで輸送コストが低下したことで宇宙・衛星データに潜む価値が見いだされ、宇宙を利用した産業規模が大幅に拡大することが予想されている。

 官製産業だった宇宙分野にも民間資金が投入され、宇宙スタートアップ企業は相次いで上場している。

 宇宙ビジネスは、日本にとって重要な産業となることが予想されるが、宇宙ビジネスをめぐるグローバルの競争環境は激化。宇宙技術は日進月歩で、研究から商業化までを同時に進める難しさにも直面していると説明する。

 そうした背景から国や地方公共団体、研究機関、民間企業にとって、どのように宇宙ビジネスに参入、寄与し、これを利用、発展させるかは重要な経営課題と指摘する。

 EY新日本は、スペースポートについて財務アドバイザリー業務の実績を有するなど、宇宙ビジネスの官民連携に先進的な知見を保有していると説明。IPO支援でも実績があり、宇宙スタートアップ企業のIPO支援実績もあることから、資本市場からの資金調達の実現を強力に支援すると解説する。

 宇宙技術が発展することで宇宙・衛星データから豊富な情報が得られるようになり、ビジネス上の意思決定に活用されることが想定されると解説。EY新日本は、俯瞰的なデータを監査や保証業務、特にサステナビリティ領域などの保証業務で活用し、サービスの付加価値と品質の向上を目指す。

 宇宙・衛星データの利活用が一般化していく社会の中でデータの品質に対する要求が高まってくることを見据え、信頼性を確保するための保証サービスを強化。こうした活動を通じ、安心安全に宇宙・衛星データを利用できる社会の構築を目指すとしている。

 EYオーストラリアで2年前に立ち上げた衛星データを活用した「Space Tech」では、光学衛星データによる不発弾検知や衛星データと人工知能(AI)を組み合わせ、自然災害からの回復を予測するなどのアドバイザリーサービスを提供している。これらの知見などを集約することで宇宙ビジネスのステークホルダーである、企業の創業者やサービスの提供企業、学術分野の研究者などの分野にわたる宇宙ビジネスの当事者を強力に支援するとしている。

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EY新日本プレスリリース

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