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「輸送/超小型衛星ミッション拡充プログラム」に見るJAXA流宇宙ビジネス育成術

2022.06.23 08:00

田中好伸(編集部)

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 「JAXAが共同研究することはもちろんだが、JAXAが経済成長とイノベーションの実現の観点で審査し、ミッションや事業の実現を後押しする」(高田氏)

JAXA 新事業促進部 事業開発グループ 参事 高田真一氏(J-SPARCプロデューサー兼務)
JAXA 新事業促進部 事業開発グループ 参事 高田真一氏(J-SPARCプロデューサー兼務)

 JAXAでは、2015年から「革新的衛星技術実証プログラム」(革新プログラム)を実施している。革新プログラムは、大学や企業が開発する超小型衛星、キューブサット、衛星などに搭載する機器や部品を軌道上で実証できるというものだ。

 革新プログラムは年間を通していつでも応募でき、これまでに2号機が打ち上げられている。ちなみに、2021年11月に打ち上げられた小型実証衛星2号機(RApid Innovative payload demonstration SatellitE-2:RAISE-2)は2022年2月から定常運用フェイズに入り、1年後には定常運用が終わる予定。定常運用終了後にRAISE-2を自ら運用する民間事業者を公募した(4月に締め切り)。

 JAXAの行動規範とも言える「宇宙基本計画」には「産業・科学技術基盤をはじめとする宇宙活動を支える総合的な基盤の強化」が盛り込まれており、この一環として革新プログラムや拡充プログラムは展開されている。

 革新プログラムは、いわばボトムアップ型で企業や大学などからの提案を受け、日本の宇宙技術の発展と宇宙産業の国際競争力強化が期待される技術に実証の機会を提供するものだが、拡充プログラムでは、JAXAとの共同研究でミッションを実現させ、より迅速にビジネス上の成果、商業として超小型衛星を活用できる考えや体制が求められることが特徴である。

 今回の拡充プログラムは、高田氏が解説するように「ビジネスの出口を決めてある」ことが、日本の宇宙ビジネスにとって大きな可能性をもたらすものだと言い表せられるはずだ。

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