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大西飛行士、宇宙からのSNS投稿に自信「期待してください」–7年ぶりにISS滞在

2023.11.15 16:27

小口貴宏(編集部)

facebook X(旧Twitter) line

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月14日、大西卓哉宇宙飛行士が2025年にISSに長期滞在すると発表した。大西氏は11月15日の会見に登壇し、長期滞在への意気込みを語った。

JAXAの大西卓哉宇宙飛行士

 大西氏がISSに長期滞在するのは2回目で、前回は2016年7月から第48〜49次の長期滞在クルーとしてISSに約113日間滞在した。滞在中はフライトエンジニアとして、補給船のロボットアームによる把持や船外活動支援でのロボティクス運用も担った。

 2回目の長期滞在では、ISSに向かう宇宙船は決まっていないが、Space Exploration Technologies(SpaceX)の「CrewDragon」を想定して訓練するという。大西氏は前回の滞在でSoyuz(ソユーズ)宇宙船のフライトエンジニアを務めており、宇宙船の仕組みなどは把握しているという。

Google+活用「反省点もあった」–今回はXで発信へ

 前回の滞在で大西氏は、GoogleのSNS「Google+」を活用し、宇宙生活をコミカルに発信したことが話題となった。なお、Google+は現時点でサービス終了となっているため、次回は情報発信にX(旧Twitter)を活用するという。

 「前回の長期滞在時もTwitterと迷い、Twitterは字数の制限があったのでGoogle+を選んだが、プラットフォームとして考えるとニッチな選択だった。広く多くの方に読んでいただけたかと言うと反省点もある」とし「今回はTwitterの後継にあたるXを始めたので、訓練や宇宙での経験や実体験を、あまり堅苦しい建前みたいなのは抜きにして、なるべく正直にお伝えしていきたい」と述べた。大西氏は今年9月にXアカウントを再開し、訓練の様子を投稿している。

  ISSへの長期滞在は2度目となるため「良い意味で肩の力が抜けている」とも大西氏は話す。前述のXの投稿については「期待してください」と自信を示した。

将来の宇宙飛行士は「地質学」の知識も重要に

 今回はISSへの長期滞在となるが、大西氏は月面探査にも憧れているという。月面探査は米国や日本、欧州が主導する「Artemis」計画が進行しており、2020年代中の有人月面探査が予定されている。

 大西氏は、欧州宇宙機関(ESA)が9月に実施した、月面や火星探査を想定した訓練「PANGAEA」(Planetary ANalogue Geological and Astrobiological Exercise for Astronauts:パンゲア)にも参加している。同訓練を通じて、ISSでは求められないスキルの必要性が顕在化したという。

 「例えば、ISSはすべての機械が地上のスペシャリストによって設計されており、地上の人のほうが我々より遥か詳しい。そのため(何かあった際に)地上とのコミュニケーションがシンプルで済む。これが月面になると、目の前にある岩石や地形を目にしているのは我々だけなので、ポイントを掴んで地上の研究者に伝えるためには、宇宙飛行士は地質学的な素養を身につけている必要がある。また、発見や観察した内容を要領よく地上に伝える表現力も求められる」(大西氏)

PANGAEA訓練の様子(出典:JAXA)

新飛行士の米田氏、諏訪氏は「非常に優秀な方」

 会見では新たな宇宙飛行士候補の米田あゆ氏、諏訪理氏について「後輩ができた」と表現。「米田さんは4月、諏訪さんは7月からJAXAに入社し、同じ部署に所属している」と述べたうえで、次のように2人への思いを語った。

 「2人が基礎訓練を受けている様子を横目に見ていて『自分はここが苦労したな』とか『ここをこうすれば上手くいった』とか『ここを頑張る必要があったな』などといったことを彼らに伝えるようにしている。先日彼ら2人もヒューストンに来ているが、非常に優秀な方で、僕にとってはいい刺激だし、僕にできるアドバイスもできればと思っている」(大西氏)

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