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NEDO「研究開発型スタートアップ支援事業」にTOWING採択–人工土壌を活用
2022.06.09 07:45
TOWING(名古屋市南区)は6月6日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2022年度「研究開発型スタートアップ支援事業/地域に眠る技術シーズやエネルギー・環境分野の技術シーズ等を活用したスタートアップの事業化促進事業」に「高効率かつ持続可能な栽培システムの開発と普及」が採択されたと発表した。
NEDOによると、デジタルトランスフォーメーションやカーボンニュートラルといった構造変化の中で日本社会が持続可能な成長を実現するためには、イノベーションの担い手であるスタートアップへの徹底支援を通じて、新たな技術やビジネスの創出を加速することが重要だという。
そこで、エネルギー環境分野をはじめとする、社会課題を解決するための具体的な事業計画があり、持続可能な社会の創出に資するスタートアップの事業化の支援を目的として、公募していた。
TOWINGは、環境に配慮した人工土壌「高機能ソイル」を活用した次世代の作物栽培システム「宙農(そらのう)」を開発・販売する名古屋大学発スタートアップ。人工土壌の技術をベースにし、地球上における循環型農業の発展と宇宙農業の実現を目指している。
独自技術である高機能ソイルは、月面の土を農業に適した土に変えることが目的。従来は土壌に利用することが難しかった植物の炭に微生物を加えることで、良質な人工土壌を生み出す技術と説明。海上や砂漠の上といった厳しい環境下でも農作物の栽培が可能になるという。
高機能ソイルは、使用する微生物を活性化させることで病原菌の増殖を抑制可能と解説。休耕せずに同じ農地で同じ作物を育て続けること(連作)が容易な農地を作られるとしている。
従来の土壌は場所や気候、土づくりをする人によってバラツキが出るものだったが、高機能ソイルは最少で2種類の有機肥料の液肥(液体の肥料)と植物炭の土壌の核、微生物源で完成するため、条件に左右されにくい高い再現性を実現しているとメリットを解説している。
地球の土を運ばずに現地の資源から農業に適した土を作るため、地球からの輸送物資量を減らして導入のコストを抑えられると主張。通常は3~5年かかるとされる、農業に適した土づくりに高機能ソイルを活用すれば、約1カ月で完成させることができるため、短期間での農場の開発、拡大が可能としている。
助成金交付予定先は、外部有識者による書面審査や採択審査委員会、NEDOによる審査の後、決定している。2022年度は108件の提案があり、40件の助成金交付予定先を決定した。
税別の助成金額は、事業1コースが2000万円以下(定額補助)と事業2コースが2億円以下(助成対象費用の3分の2以下)の2つが用意され、TOWINGは事業1コースで採択されている。