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JAXA、マネジメント改革検討委員会を設置–意識改革を含めた改善に取り組む

2023.10.27 08:00

飯塚直

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月26日、同日開催した宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会(第52回)で9月28日付けで「マネジメント改革検討委員会」(委員長=鈴木和弘副理事長)を設置したと発表した。

 新型基幹ロケット「H3」試験1号機と小型ロケット「イプシロン」6号機の打ち上げ失敗に加えて、医学系研究に関する倫理指針不適合事案の調査が終了。今回設置されたマネジメント改革検討委員会について、JAXAは、度重なったこうした事象を内省、これらの事象を糧により強い組織に進化するために、個別事象の調査では見出せていない、共通する背後要因を調査して、JAXAのマネジメントや内部統制での問題を明確にして、意識改革を含めた改善に取り組むことが目的としている。

 マネジメント改革検討委員会では、JAXA内部でのマネジメントや内部統制での課題を抽出。委員会内部に設置する、開発マネジメント改革検討と内部統制環境改革検討という分科会で検討すべき事項に振り分ける。

 委員会ではまた、リソース配分やスケジュール設定、組織風土といった点からJAXA全体のマネジメントの進め方のあり方を精査して見直していく。

 先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」をH3試験1号機に搭載したことについてJAXAとして振り返る。加えて、JAXA活動についてのグランドデザイン、長期視点での総合的な戦略と戦略を支える内部統制が、JAXAの規模などを考えると必ずしも十分ではないことも議論する。

 開発マネジメント改革検討分科会では、プロジェクトマネジメントやリスクマネジメント、開発企業との関係性について課題を抽出して分析、対応策を検討する。組織風土や意識面での問題や懸念点も対応策を検討する。

 内部統制環境改革検討分科会では、内部統制上の課題を明確化するとともに意識改革への取り組みも進める。人に関係する研究や新規分野の研究に対して、コンプライアンスにそった研究体制ができるかも検討。新興企業との適切な関係や透明性確保のあり方も議論する。

マネジメント改革検討委員会の実施体制(出典:JAXA)
マネジメント改革検討委員会の実施体制(出典:JAXA)

 委員会と2つの分科会では、2023年度末をメドに報告書をまとめる。検討状況や結果は、宇宙開発利用部会などでも説明し、随時改善策をフィードバックする予定としている。

関連リンク
JAXAプレスリリース
マネジメント改革検討委員会(PDF)

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