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人工衛星の大気圏再突入、成層圏を汚染か–高高度観測が示唆

2023.10.24 11:26

塚本直樹

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 寿命を終えた人工衛星は、大気圏に再突入させて燃やし切るのが一般的だ。しかし、こうした人工物の大気圏再突入によって、地球の成層圏が汚染されている可能性があるとの論文が、米国科学アカデミーに10月16日に報告された。

 今回、NASAの高高度飛行機「WB-57」「ER-2」がアラスカと米国本土を飛行し、高度19kmの成層圏の空気を採取した。その結果、空気からはリチウム、アルミニウム、銅、鉛の痕跡が発見された。

 科学者によれば、これらの汚染物質の濃度は、衛星の製造に使用される合金の比率を反映していたという。今回の研究の著者の一人であるDan Cziczo氏は「大気が安定しているはずの成層圏で何かが変化しているのであれば、詳しく調べる必要がある」と語った。

 科学者たちは、ロケットや衛星の再突入が地球の大気上層に与える影響について、警鐘を鳴らしている。例えばアルミニウム系合金の燃焼によって生成される酸化アルミニウムは、オゾンを破壊することで知られている。

(出典:NASA)

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