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岩谷技研、有人気球で高度1万669mの成層圏に到達–疑似的な宇宙遊覧飛行の実現を目指す

2023.10.19 16:01

佐藤信彦

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 気球による成層圏への遊覧飛行サービス提供を目指す岩谷技研(札幌市北区)は、有人気球の飛行試験で、成層圏の始まりである高度1万669mに到達した。試験は北海道南富良野町で実施し、飛行距離は73.43km、飛行時間は141分だった。

 今回の試験の目的は、成層圏の低圧環境における与圧キャビンおよび生命維持装置の運用試験と、同社製気球が高度1万m超に到達可能であると実証することだった。

 岩谷技研は、ヘリウムガス気球を成層圏まで上昇させ、宇宙を疑似体験できる遊覧飛行サービスの事業化に取り組んでいる企業。

 宇宙の定義は米宇宙軍によれば高度80kmより上、国際航空連盟(FAI)は高度100kmより上と定義しているが、同社は空が黒くなり丸い地球を眺められる高度25kmへの飛行を目指している。

 2022年からは試験飛行を繰り返し、徐々に高度を上げてきた。2023年7月の試験では、生命維持装置付き機密キャビン「Type-9」で有人飛行を実施し、高度6072mに到達。飛行距離は26.35km、飛行時間は131分に及んだ。

飛行中のキャビン(出典:岩谷技研)
下降時はパラシュート状になるプラスチック気球(出典:岩谷技研)

 なお、今回の試験でパイロットを務めた同社研究開発部の及川明人氏は、成層圏をガス気球で飛行した日本初のパイロットになったそうだ。

1万669m到達時のキャビン内にいる及川氏(出典:岩谷技研)


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