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6億画素カメラで「ダークエネルギーの起源」を探る欧州探査機、姿勢制御の問題を解決
2023.10.12 11:29
欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「Euclid」は10月5日、ガイド星を再発見し、姿勢制御の問題を解決したと発表した。Euclidは、宇宙のダークエネルギーとダークマターの影響の解明を目的としており、そのためには精密な観測が不可欠だ。
Euclidは2023年7月に打ち上げられ、L2ラグランジュ点に位置している。初期のテスト画像の撮影には成功したものの、太陽の高活動期に放出される陽子(プロトン)がEuclidのFine Guidance Sensor(ファイン・ガイダンス・センサー)に衝突し、センサーが誤ってこれを実際の星と解釈してしまう問題が発生していた。
この問題は、ガイド星を正確に識別できないことから、望遠鏡を正確な位置に固定できず、観測データに「ループ状」の星の軌跡が現れるなど、一部のテスト結果に影響を与えていた。ESAのチームは、この問題を解決するためにソフトウェアパッチを開発し、Euclidに送信した。このパッチは、まず地球上でのEuclidの電子モデルとシミュレーターでテストされ、次に軌道上で10日間テストされた。
この結果、Euclidのファイン・ガイダンス・センサーはガイド星を再び識別できるようになり、8月に中断されていた性能検証フェーズが再開された。このフェーズは11月下旬まで続く予定であり、その後、正式な科学観測が開始される。
Euclidのミッションは、私たちの宇宙の95%を占めるとされる、まだ直接観測されていないダークマターとダークエネルギーについての謎を解明することだ。Euclidは、10億年以上にわたる宇宙の歴史を観測し、ダークマターの3D分布を明らかにする。これにより、宇宙の大規模構造の空間的進化に影響を与えるダークエネルギーについても学ぶことができる。
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ESA