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神奈川大学の宇宙ロケット部、「ハイブリッドロケット」の開発費用をクラファンで募集
2023.08.25 13:48
神奈川大学宇宙ロケット部・航空宇宙構造研究室(高野研究室)は、アクリルパーテーションを再利用したハイブリッドロケットの開発費をクラウドファンディングサイト「READYFOR」で募集中だ。目標金額は300万円。2024年1月頃の開発完了、2024年3月頃の打ち上げを目指す。
同部はロケットエンジンを用いた超小型ロケットであるハイブリッドロケットを高度100kmへ到達させることを目標に活動する、神奈川大学の学生で構成されたサークル。ロケット機体の設計だけでなく、開発に必要な燃焼試験や打ち上げ試験の準備・計画などもすべて自分たちだけで進めていることが特徴だ。2021年には打ち上げたロケットが高度10.1kmに到達し、ハイブリッドロケットの国内高度記録を更新したという。
ただし、高度100kmを目指すには、燃料の容量を増やすなど、ハイブリッドロケットの大型化が必要で、より高額な開発・打ち上げ費用が必要になると説明。現在、公的資金の獲得が難しくなっている背景もあり、大学からの開発支援だけでは費用を十分にまかなえないことから、クラウドファンディングでの支援を募集したという。
同部が開発を進めているのは、コロナ感染対策の緩和により大量廃棄が問題となっている「アクリルパーテーション」を燃料の一部として活用するロケット。アクリルパーテーションは神奈川大学や企業(三菱ケミカル、イッツコム)から回収する。プラスチック廃棄物の排出抑制や再資源化につなげたい考えだ。
必要な資金は、機体開発、打ち上げ作業(燃焼試験・打ち上げ試験)、射場までの輸送費、打ち上げ酸化剤代、射場設営費、機体回収のための漁船チャーター代など総計で約2000万円。そのうち約1100万円は確保できているが、開発から打ち上げに必要な900万円が不足しているという。
まず、エンジン開発を実現するため、第一目標を300万円としてクラウドファンディングを実施。第二目標金額の600万円で機体開発、第三目標金額の900万円でロケットの打ち上げを目指す。支援者には、製作結果報告書(PDF)や3Dプリンタで作ったロケット・ランチャー模型、同部のオンラインセミナーへの参加権などをリターンする予定。