JAXAなど、既存車に自動運転を組み込むシステムを開発--「みちびき」活用

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JAXAなど、既存車に自動運転を組み込むシステムを開発–「みちびき」活用

2023.08.09 08:30

飯塚直

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月8日、東海クラリオン(名古屋市中区)やアジア・テクノロジー・インダストリー(Asia Technology Industry:ATI)と、6月から「後のせ自動運転システムYADOCAR-iドライブ」に関する共創活動を開始したと発表した。新事業創出プログラム「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の枠組みで進めている。

 東海クラリオンは車載機器の専門商社。ATIはタイを拠点に自動車の研究開発領域でハードウェアの設計や制作、ソフトウェアの開発や解析評価に精通しているという技術ベンチャー。

YADOCAR-iの特長(出典:JAXA)
YADOCAR-iの特長(出典:JAXA)

 東海クラリオンとATIは、地域限定で自動運転レベル4の実現を目指して、2人乗りのマイクロ電気自動車(EV)や8人乗りのマイクロバスなど、既存車に後から自動運転機能を組み込めるシステム「YADOCAR-iドライブ」を開発している。

 追加機材を最小化するため、加えて、国内用と国外用のシステムを共通化するため、走行ルート作成に準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System:QZSS)みちびき」の位置情報を採用している。

YADOCAR-iの仕組み(出典:東海クラリオン)
YADOCAR-iの仕組み(出典:東海クラリオン)

 アジア太平洋地域への展開などを想定し、みちびきの2~4号機、初号機後継機(QZS-1R)のL6Eチャンネルで送信される実証実験向けのセンチメートル級測位補強信号を活用した「MADOCA-PPP」を利用する。

 MADOCA-PPPは、JAXAが開発した、複数の全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)に対応した、高精度な軌道時刻を推定できるというソフトウェア「MADOCA」(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)で生成された補強情報でセンチメートル級で測位できるという、高精度な測位補強サービス。

実証実験でYADOCAR-iを搭載する乗用車(出典:東海クラリオン)
実証実験でYADOCAR-iを搭載する乗用車(出典:東海クラリオン)

 3者は、YADOCAR-iとMADOCA-PPPを組みあわせることで過疎化が進む地域での“日常の足”、観光地での“ラストワンマイル”の移動手段として、レベル4の自動運転を市場最安値で実装することを目指すという。

 最初の1~2年でMADOCAやMADOCA-PPPの高度化とYADOCAR-iの実証走行を並行して進め、開発と利用のフィードバックループを回す予定。その後は、運用実績を積み、以降の現場実装を加速させる計画だという。

YADOCAR-iは、過疎化が進む地域での“日常の足”、観光地での“ラストワンマイル”としての活用を考えている(出典:東海クラリオン)
YADOCAR-iは、過疎化が進む地域での“日常の足”、観光地での“ラストワンマイル”としての活用を考えている(出典:東海クラリオン)

関連リンク
JAXAプレスリリース
東海クラリオンプレスリリース

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