KDDIと商船三井、クルーズ船などで「Starlink Business」を試験的に利用

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KDDIと商船三井、クルーズ船などでStarlinkを試験利用–今秋にも本格利用へ

2023.08.02 08:00

飯塚直

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 KDDIは8月1日、船上の通信環境改善を目的に、商船三井グループが運航するクルーズ船やフェリーなどでの法人向け衛星ブロードバンドサービス「Starlink Business」のトライアル利用を8月以降、順次開始すると発表した。

 今回のトライアルでは、商船三井クルーズが運航するクルーズ船「にっぽん丸」、商船三井フェリーが運航するフェリー「さんふらわあ さっぽろ」と貨物を積んだトラックやトレーラーをそのまま運ぶ“RORO(Roll-on Roll-off)”船「むさし丸」、フェリーさんふらわあ(大分県大分市)が運航するフェリー「さんふらわあ さつま」の計4隻にStarlink Businessの海上利用向け通信サービスを搭載する。

クルーズ船にっぽん丸(出典:商船三井)
クルーズ船にっぽん丸(出典:商船三井)

 Starlinkを活用することで、航海中にダウンロード速度最大220Mbpsの通信環境を構築でき、乗組員と乗船客の高速通信と安全な運航が可能となる。

 KDDIは7月からStarlinkを海上向けに提供。商船三井グループの外航船はすでにトライアルを始めていて、既存の通信設備と比較して最大で50倍の通信速度の向上を確認しているという。

 KDDIと商船三井は、今回のトライアルで技術的に検証するとともに経済性などを評価して、2023年秋以降、各船の状況やスケジュールに応じて、順次本格導入する予定。

 陸上から遠く離れた海上では、基地局からの電波が弱くなるため、通常の携帯電話の高速通信の利用は困難。これまでは、静止軌道衛星での衛星通信サービスを活用してきたが、情報量やデータ量の増加で船陸間の通信はリアルタイム性に課題が残されていた。運航に関わるシステムやデータをリアルタイムで陸上と共有することは、安全運航の強化につながることからも船上の通信環境の整備が求められている。

 若年層の船員からは陸上と同じ高速なインターネットを必要とする声が多く、陸上との情報格差の解消による労働環境の向上が求められている。クルーズ船やフェリーの乗船客からも、旅客サービスの向上として、利用を望む声が増えているという。

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