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高度300km以下、空気抵抗の大きい「地表スレスレの宇宙」に中国が衛星群を構築–狙いは?
2023.07.26 16:28
中国航天科工集団(CASIC)は、地球の超低軌道(Very Low Earth Orbit:VLEO)に300機規模の衛星コンステレーションを構築する計画を発表した。中国の法治日報が報じた。
VLEOは、地球低軌道(LEO)よりも地球に近い、地表からの高度が150km〜300kmの軌道を指す。この軌道は、地表から近いために、地表のデータセンシングの高解像度化が可能となるほか、地上とのリアルタイム通信でも遅延を短縮できる。また、打ち上げコストを削減できるメリットもある。
CASICがVLEOに構築する衛星群は、地球からの高解像度の観測データをリアルタイムで収集し、そのデータを軌道上で処理し、その結果を地上に高速で伝送する能力を持つとされている。これにより、感知、計算、伝送という3機能を一体化することで、新しい衛星サービスを提供できるとしている。
CASICは「快舟1号甲」(Kuaizhou-1A)ロケットの打ち上げを手掛けており、2023年6月には通信衛星「龍江3号(Longjiang-3)」の軌道投入に成功している。
VLEOにおける衛星群は、2023年12月に試験衛星を打ち上げ、2027年までに192機の衛星を打ち上げ、30分おきに宇宙情報サービスをユーザーに提供するという。そして、2030年までには、その規模を300機までに拡大するとしている。
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法治日報