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QPS研究所、小型SAR衛星6号機「アマテル-III」初撮影画像を公開
2023.07.14 11:45
小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発、運用するQPS研究所(福岡市中央区)は7月13日、同社のQPS-SAR6号機「アマテル-III」の最初の画像(ファーストライト)を公開したと発表した。
観測地は、長野県松本市(7月12日午前0時30分、天候は曇り)、富山県富山市(7月10日午前0時54分、天候は曇り)、大阪府大阪市(7月9日午前0時5分、天候曇り)の3カ所。
画像には、衛星の進行方向である“アジマス”の分解能が1.8m、衛星の進行と直交する方向である“レンジ”の分解能が46cmを実現した画像(長野県松本市の画像)も含まれるという。2号機「イザナミ」が持つ、民間のSAR衛星として、レンジ分解能で日本最高精細の記録を上回るとしている。
今後は、引き続き衛星の姿勢制御を調整しつつ、アジマスとレンジの分解能がともに46cmの高解像度モードでの観測を開始するという。
3号機以降では、高精度、高画質な画像が取得できるように改良。展開型太陽電池パネルとバッテリーを追加し、使用できる電力量を増加。アンテナの鏡面精度も向上させ、さらに強い電波が出せるという。
アマテル-IIIはイザナミと比較し、画質の向上を確認。山々や田畑の様子、海の波の様子、川と河川敷の区別もしやすくなり、状況把握がしやすくなったという。濃淡もはっきりしており、視認性が高いため、SAR画像活用の幅が広がることが期待できるとしている。
アマテル-IIIは、分解能1.8mの通常モード(ストリップマップモード)と分解能46cmの高精細モード(スポットライトモード)の観測に対応。今回は通常モードでの観測になるという。
アマテル-IIIは、同社と北部九州を中心とした全国25社以上のパートナー企業が開発、製造。Space Exploration Technologies(SpaceX)のロケット「Falcon 9」を利用し、日本時間6月13日午前6時35分に打ち上げられた。
79分後に高度約540kmで軌道投入され、午前9時30分頃には初交信に成功。打ち上げから約21時間後に収納型アンテナが展開された。その後は、初画像撮影に向けた衛星機器の微調整を続け、打ち上げから1カ月後の7月13日、撮影した画像の公開に至ったとしている。