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深層学習で開発した創薬でタンパク質との相互作用をISSの微小重力で実験

2022.04.08 08:00

鈴木悠斗

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 Space BD(東京都中央区)とインテージヘルスケア(東京都千代田区)は4月7日、新薬を開発するための創薬プラットフォーム「Deep Quartet(ディープカルテット)」と、国際宇宙ステーション(ISS)の微小重力環境を活用した「高品質タンパク質結晶構造解析サービス」を連携させた共同研究を開始すると発表した。

 2022年中の実験サンプル打ち上げと宇宙実験の後に地上で回収し、X線結晶の構造解析と人工知能(AI)技術を活用した最適化計算を予定している。

 共同研究は創薬研究での化合物の最適化の技術開発が目的。ディープラーニング(深層学習)などのAI技術を活用した創薬の技術で設計された医薬品の新規化合物と疾患に関連するタンパク質との相互作用を宇宙実験で明らかにするとしている。

 将来的には、宇宙実験で得られる緻密な構造データと、AIによる化合物設計の資産を活用した、世界初の創薬研究支援サービスの提供を視野に入れた取り組みになるという。

 ISSの日本実験棟「きぼう」では、微小重力環境を活用して、高品質なタンパク質結晶を生成し、地上実験では得られない緻密な構造情報を取得できるとされている。この構造情報とAI創薬の技術で薬物設計で重要とされる「弱い分子間力」も考慮した化合物の最適化技術を開発するとしている。

Deep Quartetと高品質タンパク質結晶生成サービスの連携図(出典:Space BD)
Deep Quartetと高品質タンパク質結晶生成サービスの連携図(出典:Space BD)

 医薬品の分子設計では、標的となるタンパク質に対して分子(化合物)が強い結合を持つことは必須とされている。しかし、近年のリード化合物と呼ばれる物質の最適化研究では、「CH-π相互作用」など特定の弱い分子間力が重要な役目を果たしているとされている。

 Deep Quartetは、インテージヘルスケアの他に理論創薬研究所(横浜市緑区)とアフィニティサイエンス(東京都品川区)の3社が連携して提供するサービス。深層学習を強化学習に応用する技術「深層強化学習(Deep Reinforcement Learning)」、「ファーマコフォアモデル」という考え方をベースにしたソフトウェア「LigandScout」、網羅的なターゲット予測が可能という機械学習ベースのソフトウェア「CzeekS」を組みあわせたフローに、3社の企業に所属する有機合成化学者(メディシナルケミスト)の知見を加えられる創薬プラットフォームと説明する。

 Deep Quartetで設計された化合物は、連携する神戸天然物化学(神戸市中央区)でワンストップサービスで実合成できるという。


 Space BDとインテージヘルスケアは共同研究に取り組むとともに、各社のサービスについても製薬企業や創薬ベンチャー企業などに提供していくとしている。


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