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スペースデブリ把握に富士通の解析システム–観測計画作成アルゴリズムを開発
2022.04.05 16:51
富士通が開発した解析システムが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の運用する地球周回軌道にある宇宙ゴミ(スペースデブリ)の状況を把握する「宇宙状況把握(Space Situational Awareness:SSA)システム」で4月1日から筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で稼働している。富士通が4月5日に発表した。
富士通の解析システムでは、スペースデブリを効果的に観測するための観測計画を作成し、光学望遠鏡とレーダーによる観測から得られたデータに基づいて計算したスペースデブリの軌道をJAXAが把握している衛星軌道と比較解析する。
両者の接近を検知した場合は、衝突確率に加え、衝突を回避するための軌道制御に必要な情報を添えて、JAXAの衛星運用者に自動で通知することで、人工衛星の速やかな軌道修正の対応を支援するという。
JAXAがレーダーを刷新したことで、より小さな物体を観測できるため、1日あたりの観測可能な物体数が従来の10倍以上に相当する約1万件に及ぶと解説。大量の物体を最大限に観測できるよう、各物体の観測結果や観測データの処理結果も考慮して常時最適な観測計画を作成できるアルゴリズムを新規に開発したと説明する。そのほか、観測計画の策定や観測データの処理など定常的な作業を自動化する機能、国の運用するSSAシステムとも連携する。
宇宙空間に約1万2000機も存在すると言われている人工衛星の安定運用では、1億個以上存在するとされているスペースデブリが脅威となっていると解説。スペースデブリは、ロケットの残骸、運用を終了した人工衛星、これらの衝突などにより生じた破片などで、その数が増加しているという。
スペースデブリは秒速7km以上の高速度で地球を周回しており、運用中の人工衛星に衝突した場合、破損や故障を起こすことから、国際的に解決すべき社会課題とされている。