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高校生が衛星に挑戦–Space BDなど花巻を盛り上げるプロジェクト「UP花巻」始動
2022.03.30 08:00
Space BDは3月15日、宇宙をテーマに岩手県・花巻を盛り上げる民間プロジェクト「UP花巻」を発表した。プロデュースと運営はSpace BDが、プロジェクトオーナーはSPACE VALUE(岩手県花巻市)が務める。岩手県立花巻北高等学校を舞台にアークエッジ・スペース(東京都千代田区)が衛星開発プログラムを開発、運用する。
UP花巻について、Space BD 代表取締役社長 永崎将利氏は「宮澤賢治先生の『銀河鉄道の夜』がある花巻において、宇宙をテーマに花巻の魅力を再認識し、国内外に発信する(SPACE VALUE)安藤氏の思いを約一年半」(同社)追い続けた取り組みであると説明。花巻を選んだ理由として、SPACE VALUE 代表社員 安藤修一氏は「『銀河鉄道の夜』が地元に深く根付いて、日本でも有数の宇宙を感じられる街。プロジェクトにふさわしい」と述べている。
UP花巻には、東京大学大学院 工学系研究科 教授 中須賀真一氏や岩手医科大学 薬学部 阪本泰光 准教授 阪本泰光氏も参加する。
宇宙ビジネスに「解はない」
民間企業による衛星開発が広まりつつあり、その裾野は高等学校まで拡大している。2021年7月にはSpace BDの協力により、クラーク記念国際高等学校が名乗りを上げたことは記憶に新しい。花巻北高校が参加するUP花巻は第2弾にあたり、Space BD 永崎氏も「衛星開発プログラムと地域の産業の活性化を目指す」と意気込みを語る。
同社が述べるようにUP花巻は、2024年の人工衛星打ち上げを目標に、衛星を開発、運用する「衛星開発プログラム」と、宇宙を題材に花巻の地場産業が新たな価値を創出する「地場産業プログラム」の二軸で構成される。
衛星開発プログラムは「花巻オリジナルのミッション」(永崎氏)が大きなテーマだ。永崎氏は「(衛星の任務を)花巻北高校の全校生徒さんが衛星を使い、宇宙で何をするか一緒に考える」ことで衛星開発工程を追体験し、「花巻の将来を担う」(永崎氏)次世代人材育成が大きな柱になると説明する。
花巻北高校では、4月から新たな教育プログラム開始を予定しており、衛星開発から運用までを追体験する「衛星開発」、宇宙ビジネスに携わるスタートアップ企業がどんな挑戦を行っているか体験する「Space BDプログラム」、各大学の第一人者による説明や実験を学ぶ「東京大学プログラム」「岩手医科大学プログラム」を実施。宇宙ビジネス関係者による講演も予定されている。
永崎氏は「世界的にも類を見ない総合的なプログラムだと自負している。昨年(2021年)末のキックオフでは、体育館に何百人もの生徒さんが集まり、非常に熱を感じた素晴らしい時間だった」と振り返った。
「世界中で多くの方が挑戦する宇宙ビジネスの『解はない』。宇宙をテーマに地域農業や伝統工芸、観光産業関係者が参加し、宇宙ビジネスを考え、花巻を盛り上げる」(永崎氏)のが、地場産業プログラムの主目的。永崎氏は「何かが宇宙に行く、もしくは帰ってくるものに価値が生まれるのか。あるいは衛星による撮影データから何を得られるのか(考えるのは)、チャレンジングで知恵の出し所」だと主張した。