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太陽から一番近い恒星に3つ目の惑星–主星の秒速40cmの揺らぎで発見

2022.02.14 16:47

佐藤信彦

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 欧州南天天文台(ESO)は、太陽から最も近い恒星「Proxima Centauri(プロキシマ・ケンタウリ)」に3つ目の惑星「Proxima d(プロキシマd)」が存在すると発表した。ドップラー分光法を用いて発見できた惑星としては、これまでで最も軽いものだという。

 Proxima Centauriは、ケンタウルス座の赤色矮星。太陽からの距離は4.2光年ほどと一番近くにある恒星だが、肉眼では暗くて見えない。

 今回発見されたProxima dは、主星であるProxima Centauriから約400万kmという極めて近い軌道を公転周期5日で回っている。地球と同じような岩石型の惑星であり、質量は地球の約4分の1と考えられている。主星までの距離が太陽と水星のあいだに比べ10分の1もなく、極めて近いため、生命の生存には適さない。

Proxima d(手前)とProxima Centauri(左側の明るい星)の想像図
Proxima d(手前)とProxima Centauri(左側の明るい星)の想像図(出典:ESO)
Proxima Centauriは赤破線内にあるが、肉眼では見えない
Proxima Centauriは赤破線内にあるが、肉眼では見えない(出典:ESO)

 発見のきっかけは、Proxima Centauriが5日周期で「ふらついている」と判明したこと。未知の惑星が、Proxima Centauriを地球から遠ざけたり近づけたりと、わずかに動かしていると考えられた。

 光の波長が赤方向または青方向へずれることを利用して主星の動きを調べるドップラー分光法で精密に観測したところ、秒速約40cmの変動を確認。これにより、Proxima dの存在が確かめられた。

発見に関するビデオ(出典:ESO/YouTube)

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