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ESA、火星有人探査で人工冬眠を検討–物資の削減や宇宙飛行士のストレス軽減に

2022.02.10 18:22

佐藤信彦

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 欧州宇宙機関(ESA)は、火星まで往復する有人探査では、乗組員を人工冬眠させるとメリットが大きいと発表した。

 火星往復ミッションには、2年ほどの期間がかかる。そして、食料や水などの物資は、宇宙飛行士1人あたり1日30kgほど必要だ。宇宙飛行士を途中冬眠させられれば、物資の削減、居住空間と宇宙船の小型化など、コスト削減につながる。放射線の影響低減、宇宙飛行士のストレス軽減という効果も得られる。

 冬眠用ポッドの内部は、薄暗く静かで、摂氏10度を切る程度の低温、高湿度を保つ。宇宙飛行士にウェアラブルセンサーを装着させ、姿勢や体温、心拍数を監視する。ポッドの周囲には、放射線を遮るため水の入った容器を配置しておく。

冬眠用のポッド
冬眠用のポッド(出典:ESA)

 宇宙飛行士の冬眠中は、人工知能(AI)が宇宙船を管理するほか、非常事態にも対応する。

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